アンビエントとドローンのレイヤーでポートランドのポスト・ロック/ダーク・ウェイヴ/ドリーム・ポップの境界を掘り下げてきたアメリカ系ドイツ人アーティストERIC ANGELO BESSEL。2011年末に妻LAURA MARIPOSA WILLIAMSとLORE CITYを結成してから本格的にソングライティングとプロデュースを始め、アメリカ北西部のツアーを行いながらバンド活動と視覚芸術の仕事を往復してきました。高校時代にはギターを弾きつつ、近郊の町でライヴを行うハードコア・バンドをミュージシャンの視点から撮影していたという経歴を持ち、その頃に培ったステージと視覚の感覚が、現在の音とイメージの結び付きに生きています。
2025年の2NDソロ・アルバムは、メロトロンのノスタルジックな音色とALESISシンセのマルチティンバーなサウンドを現在の感覚で再構成した12曲入りインスト作品。ERIC ANGELO BESSEL自身がソングライティングから録音、ミックス、プロデュースまでを担い、JASON POWERSが追加プロダクション、CARL SAFFがマスタリングを担当しており、ローファイな質感とクリアな音像のバランスを丁寧に調整した音作りが特徴です。「散った人工的な雲と生物発光する水面の風景を描くアンビエント・ランドスケープ」「過去と現在と未来が混ざり合う静かな黒い鏡面」というコンセプトどおり、時間感覚をぼかしながら記憶を呼び起こすような音の連なりが続きます。
ストリングスのレイヤーがゆっくりと立ち上がり、微かなノイズが奥行きを作る"TENDONS"、ガラス質の鍵盤フレーズと薄いストリングのハーモニーが雪のような質感で反復する"SNOW GLOBE"、古いテープに焼き付いた弦楽器のようなざらついた響きが漂う"SCAVENGERS"、不安定なコード感とシンセの揺らぎが続く"RECOMBINANT"、映画の場面転換のように音が現れては消える"NON-DIEGETIC SOUND"、ゆっくりと動くパッドと一定のリズムが無人の通路を進む映像を想起させる"MOVING WALKWAY"から、低域のドローンが深い水中感を生む"APHOTIC ZONE"まで、アンビエント/ドローン/ポスト・ロック/サイケデリックのモチーフをまたぎながらも、一晩の長い夢のようにシームレスにつながる構成です。
ポートランドのLORE CITY周辺で育まれてきた感覚と、THE CARETAKERを引き合いに出されるような過去と未来が重なる音の質感が交差した本作は、USアンビエント/ドローン以降の流れの中でも、とくに「記憶の変容」をテーマに聴き込める2025年作として位置づけられる一枚です。SPINが「THE CARETAKERを思わせるゴーストのようなサウンド」と評し、OBSCURE SOUNDが「胸を揺さぶるアンビエントの成功作」と伝えるように、静かなトーンでありながら集中して耳を預けたくなる作品になっています。
発売・販売元 提供資料(2025/12/09)