<ショスタコーヴィチ没後50年企画>
作曲者監修の元、初演の翌年に収録された世界初のステレオ・セッション録音を初SACD化!今回の発売のために新規で本国アナログ・マスターテープより最新復刻。新規解説付
ショスタコーヴィチは1958年にパリを訪れ、クリュイタンスの指揮と自身のピアノで自作のピアノ協奏曲2曲の録音が行われました。同時に前年に初演されたばかりの交響曲第11番のセッション録音に立ち合い、遺されたのがこの歴史的音源です。ムラヴィンスキーによるセッション録音(1959年2月)より先に西側での録音が実現したのは驚きですが、何よりクリュイタンスの真摯な指揮と楽曲に対する深い読み込みによる緊張感の高い演奏は他の盤と比較しても魅力的です。また、当時のフランスのオケの音色も素晴らしく、ステレオ録音で残されたのは奇跡と言えるのではないでしょうか(一部にマスター起因の不具合あり)。今回の発売のために本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから192kHz/24bitでデジタル化したマスターを用い、SACD層、CD層別々にマスタリング。新規解説付。永久保存盤です。
この盤は歴史的録音でありながらも一時期までは忘れられた音源とも言える存在でした。初出時はモノラルで発売され国内盤LPは出て間もなく廃盤となりましたが、海外では'70年代になってステレオ版がリリースされています。以降CD時代になってもEMIからステレオ版が発売されることはありませんでしたが、1996年にTESTAMENTから突如ステレオ版が発売されようやく認知が拡がりました。ただし、ほぼ同時期に収録されたショスタコーヴィチをソリストに迎えてのピアノ協奏曲第1番と第2番はモノラル版しか発売されておらず、不思議な状況とも言えます。この時期よりようやくフランスにおいてもEMI(パテ・マルコニ)はステレオ録音を開始しており(これ以降、クリュイタンスの録音はステレオでもリリース)、過渡期だったと思われます。この音源も一部では部分的にモノラル音源になる箇所があり、さらに片チャンネルが部分的に落ちる所があるなどマスター起因による不具合箇所がありましたので、当時としては実験的な部分があったのかも知れません。尚、本家ではようやく2017年のBOX化時にCDのステレオ版がリリースされています。
(1/2)
タワーレコード(2025/11/28)
演奏自体は作曲者立ち合いの元で進められたことや、初演翌年の収録ということもあって指揮者とオーケストラ共に慣れない面からのスムーズさの不足は多少感じられるものの、当時としての完成度の高さは伺えます。特に木管や金管の当時だけの独自の音色は素晴らしく、ロシアのオーケストラとは異なりますが、響きとして魅力が増しているのは確かでしょう。写実的な曲でもあるため指揮者とオーケストラの技術力の高さが音源の完成度に影響し、その意味では両者によって録音が残されたことは貴重です。ショスタコーヴィチ自身もこの録音を好んだと伝わっており、貴重な音楽的遺産であることは確かですので、後は当時の雰囲気を従来盤にも増して現代に蘇らせることが必要との考えで今回の復刻に至りました。実際、緊張感の高さや凝縮度はこの曲を演奏(再現)する不可欠な要素のひとつであり、重要です。響きの多彩さとダイナミックさがより顕著になったことで、リスナーは更なる再発見の場面にも多く遭遇できるでしょう。
このシリーズでは、SACD層では伸びのある高域と柔らかなニュアンスと共に高い解像度と豊かな音場を、CD層はまとまったしっかりとした音と共に押し出される実在感ある音色を目指しています。CD自体のポテンシャルも高く、むしろ両方の良さを堪能できるSACDハイブリッド盤としてもお楽しみください。尚、解説書には新規文章を掲載しました。また、ジャケットに関してはモノラルでの初出時のものを採用しています。今回のDefinition Series第72弾は、計2タイトルを発売いたします。
<音源復刻コンセプト>
当企画では、本国より取り寄せた192kHz/24bitのWAVデータを基本に、SACD層用としてDSDに変換後にマスタリングを行い、別途CD層用としてPCMでもマスタリングを施していますので、SACD層、CD層、それぞれ独立したマスタリングとなっています。PCMで編集した後にDSDにも変換を行う、もしくはDSDで編集した後にPCMにも変換を行うといった1回のマスタリング作業で兼ねるのではなく、SACD、CD、それぞれの特徴や音質を重視した上で、個別にマスタリングを行いました。その際、過去に発売された音源と極力比較する検証も行なった上で、音楽を最大限に生かすべく、オリジナルのアナログ・マスターテープを尊重した上での最適なマスタリングを心がけています。
(2/2)
タワーレコード(2025/11/28)