学校は退屈、友達はガキ、ママはいっぱいいっぱい!!　でも、今日もまた陽は昇る……。前2作で小学生の胸キュンや、高校生のSMエッチ心を題材にした塩田明彦監督が贈る、〈21世紀極東ガーリー・ムーヴィー〉。直球に無防備、クセ球に攻撃的な13歳のヒロイン、サチのパンクでアンニュイな中学生少女日記が綴られる。学校にも行かずさまよう彼女の、知り合ったアタリ屋の少年たちとの交流の日々──その内容は、アブレ者世界への共感、偽善への反発、と、ただの反抗期映画ともとられそうだが、イイ意味でもっと楽しく不条理。ロリータで不純な視線、クズ人間どもの解放感などが、少女の純情曲線と絡み合う。子供の傷と親の傷、ティーンの性と教師の性、暴力&親切の快と不快、すべてはウラハラ。その学習には犠牲を伴う。サチの破れかぶれなハートが暴発するクライマックスに被る、ナンバーガールの主題歌“I don't know”も抜群。タイトルは黒いが、中身はかなり苦く、切ない。
bounce (C)山口哲一