ヒップホップにおけるターンテーブル・カルチャーに焦点をあて、70年代から現在に至るまで多彩な人物の姿に迫りながら、その音楽的成熟と文化的発展を追ったドキュメンタリー。見どころはやはり〈偉人〉たちから各時代を彩ったDJ、そして現在のターンテーブリストに至るまでのさまざまな証言。たとえば、クラブ・プレイ主体のDJであるプレミア、いわゆる〈音楽的〉な方向性を推し進めるロブ・スウィフトら、バリバリのターンテーブル主義者たち……そこから浮かび上がるのは、行為は同じ〈スクラッチ〉でも、目的や機能はそれぞれだという当然の事実だ。また、ヒップホップをそれ以上のモノに見せようとする撮影側の意識と、体系化(カルチュアリズム?)からもスルリと抜け出てしまおうとする現実との微妙なスレ違い。それをスレ違うまま放り出しているところにドキュメンタリーとしての誠実さがある。
bounce (C)獺
タワーレコード(2002年12月号掲載 (P147))
ターンテーブリズム……というかヒップホップDJのエンターテイニング&チャレンジングな側面を切り取ったセミ・ドキュメント映画「Scratch」のサントラ。監修はビル・ラズウェルだが、これまでのビルmeetsコスリもの作品のようにアカデミックではないので、神技の数々を単純に楽しめばいい。目玉はハービー・ハンコック+グランドミキサーDXT(!)らによる“Rockit 2002”。日本盤のみ収録のコールドカット・リミックスにも爆死。
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タワーレコード(2002年03月号掲載 (P90))