構成数 : 1
【書評】
この度、南江堂より『がん研べからず集(内視鏡手術編)-ビデオでみるトラブルシューティング』が、がん研有明病院の内視鏡外科に携わる先生方のご尽力により上梓された。序文によると、がん研有明病院には、日本の癌外科治療に多大な貢献をされた梶谷鐶先生の外科手術に対する考えが凝縮された語録が脈々と伝わっており、「べからず集」としてエッセンスが手術室に貼り付けられているそうである。開胸・開腹手術の時代から内視鏡手術に移行してきている現在、梶谷先生の「エッセンス」を引き継いだがん研内視鏡手術のエキスパートたちが、内視鏡手術における「べからず集」をまとめられたのである。本書は、これから内視鏡手術を始める外科医だけでなく、内視鏡手術にすでに携わっている外科医にも大いに参考になるであろう。
本書の特徴として、胸部外科だけでなく腹部外科、婦人科、泌尿器科のエキスパートたちがそれぞれの専門分野における実例を時にはビデオで示しながら、「べからず」について解説している。各論としてそれぞれ固有臓器の解剖を通じて解説している部分もあるが、基本となる「べからず」については内視鏡手術全体に共通しており、胸部外科手術以外の項目の「べからず」もたいへん参考になる。一例として「難しいラパコレをすべからず」がある。これは困難例において患者に危険が及ぶのであれば内視鏡手術に固執することなくすみやかに開腹の手術に移行せよ、ということであるが、この「べからず」はまさに胸腔鏡手術を含むすべての内視鏡手術に当てはまり、スッと腑に落ちるものである。
さて、呼吸器外科における「べからず」の項目では、3名(文敏景先生、中尾将之先生、松浦陽介先生)のエキスパートが、複数の「べからず」についてビデオ付きで解説している。ただ実は、それぞれの「べからず」はとりわけ特別なことではない。「モニターから目を離すべからず」、「血管に対しステープラーを無理に挿入すべからず」、「死角で操作すべからず」などの「べからず」であるが、これらは呼吸器外科の手術を経験した者であれば一度は聞いたことがあるに違いない。ただ、それでもこれらの「べからず」が実際は実践されず、術中出血などのトラブルを生じる現状があるのも事実である。それは「聞いて知っていること」と「常に実践できること」は大きく違うからである。両者の間には大きな隔たりがあるが、本書と付属のビデオにより、「聞いて知っている」状態から「常に実践できる」状態に、一歩あるいはそれ以上、近づくことは間違いない。なお、「肺門・縦隔リンパ節の郭清時にはリンパ節の皮膜を損壊すべからず」、「出血のみならず肺瘻や縫合不全の確認を怠るべからず」に関するビデオでは、術者の美しいリンパ節郭清や運針を楽しむことができる。さらに、チーム医療や教育に対する心構えについても解説されており、すでに熟練している外科医が読んでもたいへん参考になる一冊である。
以上、「現代版がん研べからず集」ともいうべき本書について、気がつけば一気に読み終えていた個人の感想を述べさせていただいた。最後に、本書がより安全で質の高い内視鏡手術に貢献することをお約束する。
胸部外科70巻1...
| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2017年05月02日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 南江堂 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784524254439 |
| ページ数 | 144 |
| 判型 | B5 |

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