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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2026年01月26日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | きずな出版 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784866633121 |
| ページ数 | 252 |
| 判型 | 46 |
構成数 : 1枚
序章 すし屋に生まれて
──つけ場の匂いと町に育まれた原風景
賑やかな家族とすし屋の日常
早稲田通りの賑わいと文化人の影
昭和の子ども遊びと戦時下の学校生活
九十歳を迎えて、いま思うこと
第一章 江戸前寿司と築地の世界
──市場と職人が織りなす舞台
江戸前寿司の誕生と進化
鮪が「下魚」から主役になるまで
氷と冷蔵庫が変えた寿司の歴史
正座で握った、職人たちの時代
築地市場の喧噪と符丁の声
「さばをよむ」「まかった」に込められた知恵
仲買人とすし屋──仕入れの駆け引き
第二章 町とすし屋の文化誌
──早稲田・戸塚と歩んだ時代
戸塚・早稲田とともに歩んで
神田川と暮らしの風景
関東大震災を乗り越えて
文化人が集った一角
グランド坂に息づく人と物語
地下鉄と駅が変えた町の姿
移りゆく水稲荷神社
すし屋から見た町の移ろい
学生街とすし屋の記憶
第三章 戦中のすし屋と焼け跡の記憶
──のれんを守り抜いた日々
病院と空襲の記憶
統制下のシャリ──戦時ちらしと予科練の面影
空襲と焼け跡の記憶
第四章 疎開先での食と団らん
──草津で学んだ暮らしと絆
東条夫人の視察と味噌汁の記憶
父の来訪と白根山登山
正月の銀シャリとごちそうの記憶
草津の寒さと夜の団らん
母ののり巻と心の支え
スキーでの大怪我
遅い春──小鳥・蕨・白樺
第五章 軍靴の影と子どもたち
──疎開生活に重なる戦争の足音
卒業と海軍傷病兵の入町
ラッパと歌声に包まれた寮の日々
小鳥の声と朝の鍛錬
B29の影と東京空襲の不安
第六章 飢えと規律のほころび
──子どもたちが見た戦時の現実
体位測定とシラミとの戦い
勤労奉仕──薪運びからレンガ運びへ
家に帰りたい──女子の家出未遂
T先生の出征と担任不在の日々
食べたい一心──味噌、すいとん、おにぎり
伝わる戦況──東京大空襲・長岡空襲の報
将官視察と避難訓練
第七章 帰郷と焼け跡の東京
──失われた町と再会の記憶
帰郷の波──私も東京へ
焼け跡の東京へ帰郷
病院と空襲の記憶
我が家の無事、夏の東京で
プールの日々と友の悲報
第八章 終戦と復興の始まり
──平和の実感と新しい時代へ
宣伝ビラ、原爆と終戦前夜
玉音放送と復員
疎開児の帰還とT先生の復員・廊下教室
進駐軍を見る──ジープの衝撃と階級文化の違い
皇居前のチョコレートと幼馴染のその後
戦後の音楽と野球の復活
疎開の完了と「戦争を恨む」
「リンゴの唄」と復興の始まり
占領下の教室と台所──GHQの検閲と先生たちの戦中の味
復興の屋台骨──祭り、欠食、そして町が腹を支えた
江戸前の再出発──すし屋再開と安部磯雄の記憶
戦後復興の町とすし屋の商い
草軽電鉄跡をたどって
いまの草津で感じる平和と友への想い
第九章 寿司の再出発と職人の歩み
──戦後を生き抜く技と心
委託加工──米とすし屋の再会
かっぱ巻の誕生秘話
道具と修業の日々
兄弟子、仲間からの学
『寿司一貫―江戸前が語る日本の記録』(八幡鮨四代目・安井弘著)は、早稲田・戸塚の地に百五十年近く続く老舗「八幡鮨」の四代目が、自身の歩みを通して"江戸前寿司"と"町の記憶"を綴った一代記である。著者は昭和九年生まれ。戦前・戦中・戦後を生き抜き、握り寿司とともに歩んできた九十余年の人生を、豊富な記憶と職人の語り口で描き出す。
序章では、つけ場の匂いや賑やかな家族の日常、早稲田通りの賑わいなど、すし屋の子として育った原風景が温かく語られる。第一章では、江戸前寿司の成立と進化をたどり、鮪が「下魚」から主役に変わった過程や、氷や冷蔵庫の普及が寿司の文化を変えたことを解説。市場と職人の関係、築地の活気や符丁の世界など、すし屋を支える見えない技と知恵が生き生きと描かれる。
中盤の章では、早稲田・戸塚という町とすし屋の密接な関係、戦時下の統制や空襲、疎開生活の記憶が綴られる。草津での疎開生活や家族との絆、飢えと規律のなかでの子どもたちの姿など、庶民の生活史としても貴重である。終戦後は、焼け跡の東京での再出発、進駐軍との出会い、復興の熱気が描かれ、寿司が再び町に息を吹き返す様子が胸を打つ。
後半では、戦後復興とともに寿司職人として歩んだ日々が中心となる。統制下の「委託加工」や、庶民の味として生まれた「かっぱ巻」の誕生秘話、修業と職人仲間との絆などが語られ、寿司を通じた人間模様が浮かび上がる。やがて著者は、四代目として暖簾を守り抜き、町とともに寿司文化を育ててきた自負を語る。
終章では、コロナ禍の苦境や家族のバトン、早稲田の学生との交流、商店街の変容、野球や応援歌「紺碧の空」とのつながりなど、現代の町と寿司屋の関係が描かれる。寿司が単なる料理ではなく、人と人、町と時代を結ぶ文化そのものであることを静かに伝える。
本書は、一人の職人の記録であると同時に、明治から令和に至る"日本の食と町の記録"である。寿司という一貫を通じて、時代の光と影、庶民のたくましさ、そして文化の継承を見つめ直す、温かくも深いドキュメントである。

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