ワシントン州出身のシンガー・ソングライターBRANDI CARLILEは、TANYA TUCKERやJONI MITCHELL、ELTON JOHNらとの協働を経て、INTERSCOPEやLOST HIGHWAYの文脈とも響き合うモダン・アメリカーナの代表格です。
過去数年のコラボレーションを踏まえ、ニューヨーク州北部の森へと籠もり4年ぶりに発表された8作目のスタジオ・アルバム。
ピアノとストリングスが間合いを取り、中域の伸びを活かした歌が骨格を作る"RETURNING TO MYSELF"、タイトな8ビートとミュート気味のギターが気持ちよく進む"HUMAN"、12弦の響きと控えめなオルガンが共鳴する"JONI"、リズムを落として余白を拡張、ブレスまで拾う近接気味のマイキングが効果的な"A LONG GOODBYE"と、シンプルな編成でのトラッキングを基調に、アコースティック・ギター、低域を抑えたドラム、密度の高いヴォーカル録音で、言葉が前に出る音像を徹底したというオーディオファイル的にも必聴の一枚に仕上がっています。
制作はANDREW WATT、AARON DESSNER、JUSTIN VERNONという現行ロック/フォークの要人が参加し、CARLILE本人もプロデュースに名を連ねます。グラミー常連としての経験値を土台に、AARON DESSNERの和声設計、JUSTIN VERNON周辺の音色選択、ANDREW WATTの現行ロック解像度が合流。フォーク、ロック、ルーツを横断しつつも焦点はヴォーカル表現に置かれ、キャリアの中で最もパーソナルな一枚として機能します。
発売・販売元 提供資料(2025/11/04)
アンドリュー・ワット、アーロン・デスナー、ジャスティン・ヴァーノンというアイコニックなプロデューサーの顔ぶれも話題な8枚目のソロ作だが、重要なのは彼らと作り上げた新たな音像だ。その意味では80年代のUKロックを連想させるエモーショナルな "Church & State"もさることながら、アコギの弾き語りをアンビエントなサウンドで包み込んだ"Joni"のような曲こそがむしろ聴きどころなのかもしれない。参加ミュージシャンのなかにジョシュ・クリングホッファーとブレイク・ミルズの名前を発見! 穏やかな曲が円熟を印象づけるからこそ、何度かある感情を高ぶらせる瞬間が聴きどころになる。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.504(2025年11月25日発行号)掲載)