ポルトガルのアンダーグラウンドシーンから現れた覆面集団=GAEREA (ゲリア)
Century Mediaから放たれるデビュー作『Loss』
2016年にポルトガル北部の港湾都市ポルトで結成された覆面エクストリームメタルバンドGaerea (ゲリア)。彼らは5作目にして、Century Media Recordsからのデビュー作となる『Loss』を発表し、本格的に世界を視野に入れた活動を始動させる。全身を黒で統一し、腕にペイント、そして顔があるべき場所に独自の紋章を刻むことで匿名性を手にした5人は、元来ブラックメタルを基調とした音楽性で評価を得てきた。
「新作には新旧のファンが共に好む要素があると思う。ただし、彼らの期待が作品の方向性と一致するわけではない」と匿名のヴォーカリストは語る。さらにファースト・アルバム『Unsettling Whispers』(2018年)やセカンド・アルバム『Limbo』(2020年)について振り返る。「たしかに『Mirage』(2022年)まではWatain(ヴァーテイン)のような超攻撃的なブラックメタルのスタイルだったし、いつかBehemothと共演できる日が来るかもしれないとも思っていた。もちろん2組とも敬愛しているが、"ネクストBehemoth"になるつもりはなかった、俺たちは"ネクストGaerea"になりたかったんだ」。
覆面を被ることで自己の内面を露わにし、魂をさらけ出し、やりたいことを表現する自由を得たGaerea。最新作『Loss』は、ファンにとって予想外でありながらも圧倒的な解放感と魅力を放つ意欲作となった。
壮大に幕を開ける(1)「Luminary」から、メンバーが限界と創造性を押し広げようとする姿勢がはっきりと聴き取れる。アルバムには、キャッチーで情熱的なコーラスを備えた楽曲が並び、音楽の幅をさらに広げたことが分かる。(3)「Hellbound」は、罪悪感、失恋、自己破壊といったテーマを深く掘り下げ、あらゆる痛みと混乱を乗り越えようとする楽曲だ。象徴的な存在としてMVに現れる灼熱の炎の如き激情のリフ、そして聴く者の心を激しく揺さぶるヴォーカルが脆弱性と攻撃性、愛と裏切りの狭間に張り詰める緊張感を鮮烈に刻んでいる。アルバムの中盤を支えるダイナミックな(6)「Cyclone」から、深部へと誘うインタールード的存在(7)「LBRNTH」を経て。その余韻を切り裂きながら、流浪する心をアンセミックに描き切った(8)「Nomad」へと続く流れは圧巻だ。そして、アルバムの幕を閉じる劇的な哀歌(9)「Stardust」。ヴォーカリストが10代の頃に親友を失った経験をもとに書かれた楽曲は、今作のタイトル"Loss(喪失)"ともリンクする。長きにわたり心の奥底に押し込めていた自分の感情と向き合う助けとなったこの曲は、感情が解き放ちながら静かな波紋を広げるようにして作品を締めくくる。音楽的進化を示した前作『Coma』(2024年)を凌駕する革新性が今作にはある。そして、それは紛れもなくGaereaのサウンドであることに変わりはない。
バンドは2025年10月~11月にかけてスウェーデン出身でレーベルメイトのOrbit Cultureのヨーロッパ・ツアーにAtlasと帯同し、メイン・サポーターとしてエネルギーに満ち溢れ、表現豊かなステージを繰り広げた。
ポルトガルの謎のバンドGaereaは、美しくも強靭な作品『Loss』によって唯一無二の存在であることを証明する。
■16pブックレット付
■Oカード付デジパック仕様
発売・販売元 提供資料(2025/12/05)