ヒップホップ・アーティスト、アウトキャスト、グッディ・モブ、プロデューサー、オーガナイズド・ノイズによるアトランタ・ヒップホップのドリーム・チーム、ダンジョン・ファミリーのアルバム。 (C)RS
JMD(2019/01/24)
ジャーメイン・デュプリがアトランタの表看板だとしたら、同地の音楽的な動向のカギを握る裏アトランタ的な存在なのが、このダンジョン・ファミリーの面々だ。スリーピー・ブラウン、リコ・ウェイド、レイ・マレイからなるプロデューサー集団、オーガナイズド・ノイズの旗振りで、ファミリーの名のもと一同に会することになったのは、アウトキャスト(アンドレ3000&ビッグ・ボイ)、グッディー・モブ(シー・ロー、クージョー、ビッグ・ギップ、T・モーの4名)、ウィッチドクター、ミスター・DJ、バックボーン、フレディー・カルホーン、ソサエティー・オブ・ソウルのビッグ・ルーベら、総勢(ジャケットに写っているだけで)14名の猛者たちで、誰しもがここではあくまでもファミリー中の一員として曲ごとに激しくぶつかりあい、アルバムは一族の誇りに満ちた咆哮で満ち溢れている。彼らと近しい関係にあるババ・スパークスや、ジョイ、ニヴェアなどが呼び寄せられているのにも注目だ。プロデュースの大部分はオーガナイズド・ノイズによっておこなわれているが、アウトキャスト+ミスター・DJで構成されるET3の手掛ける作品も一部含まれ、全編がマーケットに対して少しも媚びを売らない、ストイックかつアトランタ・ファンクの神髄をいくクリエイティヴなサウンドで貫かれている。それにしても、この戦闘的な圧迫感は何なのだろう。それはまるでファミリーと言うよりミリタリーのようでもある。
bounce (C)JAM
タワーレコード(2002年01,02月号掲載 (P86))
2000年の一枚、アウトキャスト『Stankonia』。とくに“B.O.B.”の豪快なドラムンベース解釈はいかにもアメリカ的で楽しめた。で、今回はファミリーの名を掲げたアルバム。オーガナイズド・ノイズとET3(アーストーン3≒アウトキャスト)がトラックを手掛けているわけだが、欲張りなビートの猛襲にまた感心。ビックリの“Crooked Booty”はまさに南部ファンクの後継とできるが、ちょっと音を変えれば、先鋭的なブレイクビーツ・トラックになりそうだ(マジで!?)。やはりPファンク~プリンスを引用したくなるが、奇怪な美意識のある曲も多く、ファンタジーの要素が重要なんだろうとわかる。ゲーム用語としてもOKな〈ダンジョン〉。曲ごとに違う自由奔放なビートを辿る経緯も、ロールプレイング・ゲームで扉を開ける感覚に近いか。引き出しが多い分、ニュートラルな耳でもソク楽しむことが可能だろう。以前ダーティー・サウス型のなにかで、意外とベースメント・ジャックスのセンスとそう遠くないのでは?と、ふと思ったこともあった。〈フューチャー〉という言葉の安売りには嫌気がさしている身だが、テクノやエレクトロニカ関係とはあきらかに違うフューチャー気質がここにもある。昔からSF映画やアニメでよくあるのが、地上人と地底人という二面性で未来を描く手法。たいがい地上人は穏和な平和志向で、一方の地底人はハイテクな未来派というケースが多い。〈ダンジョン〉という意味はそこにも?(それは深読み)。
bounce (C)栗原 聰
タワーレコード(2002年01,02月号掲載 (P86))