クルト・ザンデルリンクによる大伽藍の超絶名演が初SACD化!ロマン性豊かで、尚且つ悠久の流れを思わせるこの曲屈指の演奏。デジタル録音のSACD化企画第7弾!新規解説付
ロシアものも得意としたザンデルリンクは当時レニングラード・フィルの指揮者を務めていた1956年にベルリンでDGレーベルへこの曲を録音しており、名盤として現在でも人気があります。それ以来の再録音となったこの1989年録音のTELDEC盤では基本的な作品に対する姿勢はそのままに、より円熟した内容となっているのが特徴で、ロマン性が豊かなこの作品にザンデルリンクならではの解釈が示された録音として、この曲のファンにも強烈なインパクトを残しました。遅いテンポもその一環で、決して弛緩しない流れるような音楽運びはこの演奏でもっとも特徴的です。晩年のザンデルリンクの代表的名盤を今回の発売のために、本国のデジタルマスターから新規でSACD化を行いました。SACD層、CD層別々にマスタリング。新規解説付。
旧ソ連での指揮活動時代でのロシア音楽の取組みは同じくレニングラード・フィルと収録したチャイコフスキーの交響曲第4番(DGへのモノラル録音)や後のベルリン交響楽団との同:交響曲第4-6番(DENON)、ETERNAへのペーター・レーゼルとのラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集やショスタコーヴィチの一連の録音等多くの音源でその造詣の深さや親和性の高さが伺え、いずれも重心の低い、重厚さを備えた演奏となっているのがザンデルリンクの特徴と言えます。ラフマニノフに関しても同様で、交響曲第2番以外では第3番のライヴ音源が残されていますが、セッション収録においては再録音はそれほど多くありませんでした。このTELDECへの1989年録音は40年以上経って再録音が行われたもので、首席客演指揮者就任の後、名誉指揮者にも任命されたフィルハーモニア管弦楽団との共演というのも、完成度の高い演奏となっている理由のひとつでしょう。この録音はカットが一部ありながらも全体で約67分という長時間演奏になっているのが特徴ですが、演奏内容は充実しており、長い時間の経過はむしろこの曲が好きな方にとってはかけがえのないものになっていると言えるのではないでしょうか。振幅が大きい割に間延びする要素は一切なく、逆に音の運びがより重層的に増していき、息の長い旋律にさらなる魅力を与えています。それは驚異的なことであり、この曲に関してここまで思い切りのある演奏は他には例がありません。いずれにせよ、ERATOに収録したマーラー等の晩年の2曲に加え、ザンデルリンクの代表盤のひとつとなったことは間違いありません。今回、オリジナルのマスターを基に高音質化することで現在における最良のマスタリングを行い、より緻密にザンデルリンクの意図が把握できる音質を目指しました。
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タワーレコード(2025/10/24)
このシリーズでは、デジタル初期の本来のマスターの音質に大きく左右されますがSACD層では伸びのある高域と柔らかなニュアンスと共に解像度の改善を、CD層はまとまったしっかりとした音と共に押し出される実在感ある音色を目指しています。CD自体のポテンシャルも高く、むしろ両方の良さを堪能できるSACDハイブリッド盤としてもお楽しみください。尚、解説書には増田良介氏による新規文章を掲載しました。今回のDefinition Series DIGITAL era第7弾は、3タイトルを発売いたします。
<音源復刻コンセプト>
今回のデジタル初期音源復刻では、個々の音質差以上に音場間の向上や音離れが良くなり、解像度も高まりました。また、程度の差こそあれステージが従来より近く感じられ緊密感も増しています。SACD層に限らずCD層でも最新マスタリングを反映させていますので、その効果を確認できると思います。音質差は元の録音状態によることや、最も成功したアナログ録音の最新復刻時のような劇的な変化とまでは言えないものの、従来の復刻に勝るとも劣らない音質を獲得できることを確信し、本格的に企画を進行して行くことにした次第です。レコード史的にもひとつの最盛期にあたる1980年代初期から約20年間分のデジタル録音期にスポットを当てたSACD化新規企画として、新シリーズ名は「Definition Series DIGITAL era」としました。尚、従来通り過去に発売された音源と極力比較する検証も行なった上で、音楽を最大限に生かすべく、オリジナルのマスターを尊重した上での最適なマスタリングを心がけています。
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タワーレコード(2025/10/24)