U:kahoric:日本の童謡や唱歌といった誰もが耳にしたことのある旋律を、ジャズやラテン、ボサノバといった多彩なリズムの上で再解釈した意欲的な作品。 (C)RS
JMD(2025/11/01)
日本の童謡や唱歌といった誰もが耳にしたことのある旋律を、ジャズやラテン、ボサノバといった多彩なリズムの上で再解釈した意欲的な作品。
「伝統を越えて、普遍へ。日本の歌が世界に響く。」
本作『NIPPON:horic』は、日本の童謡や唱歌といった誰もが耳にしたことのある旋律を、ジャズやラテン、ボサノバといった多彩なリズムの上で再解釈した意欲的な作品である。懐かしさと新鮮さを同時に響かせるこのサウンドの担い手が、2012 年に結成された女性4人組ユニットU:kahoricだ。リーダーを務めるサックス奏者UkoSaxyを中心に、メンバーそれぞれが持つ音楽的バックグラウンドを結集させ、日本の旋律を現代的かつ国際的なサウンドに昇華してきた。
彼女たちの活動の核にあるのは、「日本の歌を世界に響かせる」という明確なヴィジョンである。伝統的な旋律をそのまま再現するのではなく、ジャズの即興性、ラテン音楽の情熱、ボサノバの柔らかい揺らぎを自在に組み合わせることで、過去から受け継がれてきた楽曲に新しい生命を吹き込んでいる。
冒頭の「あんたがたどこさ」では、素朴な旋律がモーダルなハーモニーとリズムによって立体的に響き、祈りのような情感が普遍的なスピリチュアル・ソングへと昇華される。「八木節」では、強靭なグルーヴが前景化し、民謡特有の躍動感がラテン的な熱気と交差する。そこには、土着的なエネルギーを都会的なダンス・ミュージックへと架橋する、U:kahoricならではのセンスが息づいている。
「夏は来ぬ」や「赤とんぼ」に代表される抒情的な楽曲では、透明感あるアンサンブルと柔らかい歌心が、原曲が持つ叙情性をより洗練された響きとして再提示する。音のひと粒ごとに宿るニュアンスは、聴き手を懐かしい情景へと誘うと同時に、今を生きる私たちの心象風景を映し出す。
結成から10 年以上の歩みを重ねてきたU:kahoricは、日本の旋律と世界のリズムを結びつける架け橋であり続けている。本作『NIPPON:horic』は、その歩みの集大成であり、また新たな出発点でもある。伝統と革新を往還しながら生まれた音楽は、単なる懐古でも模倣でもなく、日本の歌の普遍的な美しさを未来へとつなげる確かなメッセージとなっている。
『NIPPON:horic』――それは、U:kahoricというユニットが描き出す「日本の心の原風景」を、世界に向けて力強く響かせるアルバムなのである。
音楽評論家 田屋楽人
発売・販売元 提供資料(2025/10/10)