灰野敬二と蓮沼執太によるコラボレーション・アルバムがTemporal Driftよりアナログ盤でリリース!
灰野が歌い、蓮沼が演奏する。ミニマルな枠組みから生まれるのは、境界を曖昧にする音の探求だ。アルバム全体を通して、灰野の歌声は、アナログシンセ、エレキギター、ピアノ、フィールドレコーディングなどから構築された蓮沼の重層的なサウンドスケープを縫うように流れる。灰野は歌詞だけを手にスタジオに入り、蓮沼の進化するアレンジに合わせて即興でメロディーを奏でた。その結果、深い信頼、直感、そして音の緊張感が生み出された作品が生まれた。灰野敬二と蓮沼執太のクリエイティブな繋がりは、2017年、渋谷での即興パフォーマンスから始まりました。蓮沼がモジュラーシンセサイザーを演奏し、灰野が日本の国歌「君が代」で応えた瞬間でした。この瞬間から、二人の意外なコラボレーションが始まりました。2018年には蓮沼が主催するロームシアター「MUSIC TODAY IN KYOTO」に出演し、竹村延和、角銅真奈美、エレナ・トゥタッチコワ、空間現代らと共演。2021年9月にはコロナ禍の中、渋谷WWWにて「U TA」を初披露。その後すぐにアルバムの構想を練り始めた。『U TA』のレコーディングでは、灰野は歌詞だけを手にスタジオに入り、蓮沼がどんな音を出すのか全く分からなかった。蓮沼の音楽にリアルタイムで反応し、灰野はその場でメロディーを作り、声を重ねていった。蓮沼のプライベートスタジオと灰野の愛用スタジオでの追加セッションを経て、アルバムは完成した。
発売・販売元 提供資料(2025/10/09)
孤高の前衛性を貫く地下界の重鎮と、ソロからフィルまで多彩な形態で活動する気鋭の音楽家によるコラボ盤。蓮沼がほぼすべての作詞・作曲と演奏、ミックス、プロデュースを担い、蓮沼の詩に灰野が即興でメロディーを与える――そんな手法で制作された本作は、完成まで実に4年を費やしたという。ノンビートのアンビエンスからリズム特化のエレクトロニカまで有機的に変化する音響空間のなか、遠ざかっては近づき、静寂に溶けては場を埋め尽くすように増殖し、深いエコーを纏っては生々しく響く灰野の〈うた〉。言葉が厳かな神秘性を帯び、音楽になる瞬間に立ち会ったような、瞑想的な陶酔に包まれる一枚。
bounce (C)土田真弓
タワーレコード(vol.501(2025年8月25日発行号)掲載)