Nebraska 82: Expanded Edition ［4LP+Blu-ray Disc+ブックレット］＜完全生産限定盤＞

幻の『エレクトリック・ネブラスカ』が遂に初公開!
ブルース・スプリングスティーン:完全未発表音源、全曲再現ライヴを含む『Nebraska 82: Expanded Edition』(4LP+Blu-ray)

ブルース・スプリングスティーンの名盤『ネブラスカ』が、これまで発表・発見されていなかった数多くの音源をフィーチャーした4LP+Blu-ray5枚組の大拡張版『Nebraska 82: Expanded Edition』(ネブラスカ'82:エクスパンデッド・エディション)としてリリース。Eストリート・バンドとの伝説的な「エレクトリック・ネブラスカ」セッションや、自宅レコーディングでの貴重なアウトテイク、更に2025年NJカウント・ベイシー・シアターでの撮り下ろし『ネブラスカ』全曲再現ライヴを映像と音源で収録、また、オリジナル・アルバムの2025年最新リマスター音源も収録される。

1982年発表『ネブラスカ』は、ブルース・スプリングスティーンの数多いアルバムのなかでも、もっとも異色でありながら、古典的傑作のひとつに挙げられる重要作。自宅の寝室で4チャンネルのカセットレコーダー(標準的なカセットテープを使ってマルチトラック録音ができる最初の一般向けの機器、ティアック社のタスカム144)を用いて、弾き語りに最小限の控え目なダビングを加えて録音したローファイな音質のカセットテープをそのままアルバムにしたもので、82年の発表時には、ロックンロール・アルバム『ザ・リバー』の次に続く作品としては驚きの衝撃作と受け止められたが、すぐにその真価を認められ、今では歴史的な名作と高い評価を確立している。以降の世代のソングライターたちに大きな影響力を与え続けるアルバムともなった。その内容は米国社会の片隅で、厳しい暮らしを強いられ、時には強盗や殺人の罪を犯す人びとを主人公にした物語歌集で、ブルースはそんな登場人物の内面に入り込んで歌う。聴くたびにどんどん引き込まれていく不思議な力を持ち、心を強く揺さぶられる作品。(1/2)

ブルースを世界的なスーパースターに押し上げる次作のメガ・ヒット・アルバム1984年発表『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』も実はこの『ネブラスカ』と同時期に創作されていた兄弟アルバムで、その制作過程が今作で明らかになる。Eストリート・バンドとともに録音した幻の『エレクトリック・ネブラスカ』やスタジオで新たにギター弾き語りで録り直し、発表までに様々なセッションが行われていたが、ずっとジーンズのポケットに入れて持ち歩いていたケースすら無い1本きりのカセットテープにある特別な何かは取り換えが効かないと思い知らされるだけだった。結局、ブルースはそのカセットをそのまま発表するという結論に達する。それがアルバム『ネブラスカ』となった。その決断には周囲は誰もが驚いたが、全米アルバム・チャート最高位3位、プラチナ・ディスクにも認定される大ヒットとなった。キャリアの自殺行為になりかねないとも考えられた大胆な挑戦は、アーティストとしての意志を貫き通し、こだわりを捨てなかったブルースの勝利に終わったのである。映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』で描かれる、1982年の『ネブラスカ』物語を音楽で紡ぐドキュメント作品が『ネブラスカ'82:エクスパンデッド・エディション』である。

『ネブラスカ』のレコーディング・セッションを集大成した4LP+1Blu-rayの5枚組ボックスセットには、DISC1にアウトテイク集、DISC2にEストリート・バンドとエレクトリック・バンド・ヴァージョンに挑戦したファン垂涎の『エレクトリック・ネブラスカ』、DISC3に2025年春に行われた『ネブラスカ』全曲再現ライヴ(音源)、DISC4に2025最新リマスター。更にDISC5(Blu-ray)には『ネブラスカ』全曲再現ライヴの映像版を収録。なぜこの作品が傑作と呼ばれるのか、名盤たる理由を深く知ることができるはずである。特殊仕様豪華パッケージには、未発表写真や長文ライナーノーツ(エリック・フラナガン)含むカラーブックレットが付随。

更に『ネブラスカ'82:エクスパンデッド・エディション』のリリース一週間後の10月24日には20世紀スタジオ配給により、スプリングスティーンの『ネブラスカ』誕生に至るまでの創造的かつ個人的な歩みを描いた長編映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』が全米で公開となる(日本では11月14日公開)。スコット・クーパーが監督を務め、ウォーレン・ゼインズの著書『Deliver Me From Nowhere』を自ら映画化したこの作品はジェレミー・アレン・ホワイトがブルース・スプリングスティーン、ジェレミー・ストロングがマネージメントとプロデュースを長年になっているジョン・ランダウを演じており、スティーヴン・グレアム、オデッサ・ヤング、ポール・ウォルター・ハウザー、ギャビー・ホフマン、マーク・マロン、デヴィッド・クラムホルツも出演している。(2/2)

There is an adage in the record business that a recording artist's demos of new songs often come off better than the more polished versions later worked up in a studio. But Bruce Springsteen was the first person to act on that theory, when he opted to release the demo versions of his latest songs, recorded with only acoustic or electric guitar, harmonica, and vocals, as his sixth album, Nebraska. It was really the content that dictated the approach, however. Nebraska's ten songs marked a departure for Springsteen, even as they took him farther down a road he'd already been traveling. Gradually, his songs became darker and more pessimistic, and those on Nebraska marked a new low. They also found him branching out into better developed stories. The title track was a first-person account of the killing spree of mass murderer Charlie Starkweather. (It can't have been coincidental that the same story was told in director Terrence Malick's 1973 film Badlands, also used as a Springsteen song title.) That song set the tone for a series of portraits of small-time criminals, desperate people, and those who loved them. Just as the recordings were unpolished, the songs themselves didn't seem quite finished; sometimes the same line turned up in two songs. But that only served to unify the album. Within the difficult times, however, there was hope, especially as the album went on. "Open All Night" was a Chuck Berry-style rocker, and the album closed with "Reason to Believe," a song whose hard-luck verses were belied by the chorus -- even if the singer couldn't understand what it was, "people find some reason to believe." Still, Nebraska was one of the most challenging albums ever released by a major star on a major record label. ~ William Ruhlmann