スペンサー・ドーラン(Visible Cloaks)、作曲と演奏における自動化の歴史を融合させたサイバーヒューマン音楽集。 (C)RS
JMD(2025/09/13)
スペンサー・ドーラン(Visible Cloaks),作曲と演奏における自動化の歴史を融合させたサイバーヒューマン音楽集
Visible Cloaksのスペンサー・ドーランによる「不確定性サイバー室内楽」プロジェクト、遂にベールを脱ぐ《コンポニウム・アンサンブル》の初リリース。紀元前に始まる自動演奏楽器と19世紀自動作曲機械の概念をバーチャルスタジオ上で結合発展させ、新鮮な驚きを創り出すサイバーヒューマン音楽最前線の作品集です。
本プロジェクトは、古代ギリシャのアルキメデスに始まり、9世紀バグダッドのバヌー・ムーサー兄弟によって発展した自動演奏楽器の長い歴史から着想を得ています。後者は水圧を利用し機械的に制御されたフルートと先見性のあるプロトMIDI構造を持つパンチカード機構という、プログラム可能な自動演奏のコンセプトを初めて完成させていますが、この機械的な音楽制作は、千年後、筐体それ自体で自動作曲できる「コンポニウム」という機械音楽システムを発明したディートリッヒ・ニコラス・ウィンケルによって偶然性の原理を用いて拡張されました。
ドーランは《コンポニウム・アンサンブル》でこの系譜をさらに発展させ、デジタル技術で膨大な数の仮想楽器を自動化し不確定性の要素を導入する機能を活用することで、人間の衝動や恣意の限界を超えた仮想演奏者という「新たな形態の出現」に扉を開いています。
この「サイバーヒューマン・ミュージック」ともいえる形態の先駆者であるノア・クレシェフスキーに捧げられた『八つの自動作曲作品集』は、プリペアドピアノ、ハープシコード、チェレスタ、バスクラリネット、フルート、チェロ、バリ島のティンクリックなど、多岐にわたる楽器を複数の仮想アンサンブルで演奏しています。一見難解にみえる理論的基盤にもかかわらず、その音楽は聴きやすくかつ魅力的で、想像を超える広がりと新鮮さを持っています。軽やかなタッチと洗練された旋律感覚は、ポップスファンとクラシック/コンテンポラリー音楽のリスナーの双方に響くことでしょう。
音源はドーランの長年のコラボレーターであるジョー・ウィリアムズ(Motion Graphics、Lifted)がミキシングを行い、音楽を視覚面から解説するハイパーリアリスティック・アートは日本のビジュアルアーティスト/グラフィックデザイナー、吉澤風生(Kai Yoshizawa)が担当。
10インチ・レコード/CD/デジタルのリリースで、CDエディションのみカール・ストーンによるリミックスがボーナストラックとして収録されます。
(レーベル・インフォメーション)
ジュエルケース/帯/CDのみボーナストラック収録/8pブックレット(日本語英語併記)/解説:スペンサー・ドーラン
発売・販売元 提供資料(2025/09/05)