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いのちの響き 教育の追想

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フォーマット 書籍
発売日 2025年08月28日
国内/輸入 国内
出版社一藝社
構成数 1
パッケージ仕様 -
SKU 9784863592971
ページ数 228
判型 A5

構成数 : 1枚

はじめに――いのちとハルモニア 2

二〇〇六~八年

No. 001 二つの世界 16

No. 002 心の時間 18

No. 003 無数の感動 20

No. 004 競争と競いあい 22

No. 005 経験そのものがユニーク 24

No. 006 軋む心のなかに 26

No. 007 声として聴く 28



二〇〇九年

No. 008 隔たりが消えるとき 30

No. 009 ミメーシスと想像力 32

No. 010 非言語的コミュニケーション 34

No. 011 応答する力 36

No. 012 見える光も見えない 38



No.013 共存在 40



二〇一〇・一一年

No. 014 ちゃんとした壁 42

No. 015 神と狼 44

No. 016 結びつなぐ心 46

No. 017 計算できないもの 48

No. 018 思考と感謝 50

No. 019 薔薇は咲き、人は生きる 52

No. 020 自分とは何か 54



二〇一二年

No. 021 全体と要素 56

No. 022 〈こと〉と場 58

No. 023 想像の存在 60

No. 024 二つの考え方 62

No. 025 知性と畏敬 64No. 026 興味・関心 66

No. 027 贈りものへの感謝 68

No. 028 はたから見ない 70



二〇一三年

No. 029 気づきに気づく 72

No. 030 心に在る記憶 74

No. 031 真にまねること 76

No. 032 問いと学び 78

No. 033 生きると存在する

No. 034 じっと見つめるとき 82

No. 035 秋の気配 84

No. 036 外に向かい、内なる力を呼び覚ます 86

No. 037 一命への畏敬 88



二〇一四年

No. 038 すこやかな生 90

No. 039 眼を見て話す 92

No. 040 有用でも無用でもなく 94

No. 041 無力 96



二〇一五年

No. 042 理性 98

No. 043 沈黙 100

No. 044 風立ちぬ 102

No. 045 気遣いとともに 104

No. 046 学ぶと生きる 106

No. 047 意味と経験 108

No. 048 師弟という関係 110

No. 049 皮肉ではないアイロニー 112



二〇一六年

No. 050 心の余裕 114

No. 051 継続するという才能 116

No. 052 想いの連鎖 118

No. 053 親の背中、神の背中 120

No. 054 良心としての〈あなた〉 122

No. 55 フィロソフィア 124No. 056 想いと自我 126

No. 057 問題と問い 128

No. 058 無垢の力 130

No. 059 いのちの力 132

No. 060 弱さの力という贈りもの 134



二〇一七年

No. 061 ユニークさ 136

No. 062 驚くこと 138

No. 063 畏敬の念 140

No. 064 よりよく 142

No. 065 外への開かれ 144

No. 066 動物の魂 146

No. 067 アフェクトゥス 148

No. 068 二つの呼び声 150

No. 069 コミュニケーション? 152

No. 070 人間の自然 154



二〇一八年

No. 071 自分のうつわ 156

No. 072 知るとできる 158

No. 073 経験を豊かにするもの 160

No. 074 表現と類似 162

No. 075 内なる自己 164

No. 076 文脈を創りだす 166

No. 077 真実を映す鏡 168



二〇一九年
No. 078 感動の本態 170

No. 079 自分の理念 172

No. 080 忘れられた静寂 174

No. 081 他なる 1...

  1. 1.[書籍]

東京大学名誉教授が綴る、学力をつちかう100のコラム。 (はじめに、より抜粋) さて、現実の教育に目を向けると、保護者にとって大きな問題は、やはり、子どもの「学力の形成」だと思います。まず確認しておくと、私たちの心身のどこを探しても、「学力」というものを見つけることはできません。「学力」は、人が何かを達成したり探究したりするときに、その人のなかにあると見なされるものです。たとえば、子どもが試験問題を解いたり、探究課題について調べたり考えたりするときに、その子どもにあると見なされるものです(これは「構成概念」「事後的形象」とも呼ばれます)。厳密にいえば、「学力」は、内部に形成される〈もの〉ではなく、実際に活動できる〈こと〉ですが、わかりにくいので、「形成」という表現を使います。この「学力」を形成する具体的な方法は、一般的によく語られていますが、そうした方法よりも大切なことがあります。それは、「学力」を形成するために踏まえておくべき考え方、いわば前提条件です。
「学力」の形成は、どんなにうまい方法で行っても、それなりの忍耐力(持続力)を必要としています。いいかえれば、学ぶ人の「意欲」を必要としています。人の意欲は、目的があるとき、どんどん湧いてきます。厄介なことは、人の抱く目的が、およそ情報メディアが作りだす欲望に塗れてしまっていることです。欲望に塗れた目的は、およそ自分の目的ではありません。欲望は、所詮、他人の欲望です。自分の目的は、自分自身の心が希求するところです。それは固有で特異なものです。だれにでも固有で特異な心があるように、だれにでも固有で特異な目的があります。したがって、「学力」を形成するための前提条件の一つは、自分のなかの固有で特異な傾き(心の傾向性・志向性)に気づくことです。子どもがいつ・どこで・どのようにそれに気づくのか、それは、子ども一人ひとり異なります。親にできることは、焦らず見守り、後で述べる経験の機会を増やすことです。ついでにいえば、子どものもつ独自の傾きは、親であっても予測できるものではない、と考えたほうがいいです。デカルトが『情念論』で述べているように、子は、およそ親を越えて育つものです。

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著者: 田中智志

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