短調の驚愕の美しさ、バッハと互いへの敬意に貫かれた至高の美
ファウスト、ベザイデンホウト、ゴルツ
日本公演も語り草の最強の三名によるバッハ
現代最高峰のヴァイオリン奏者イザベル・ファウスト、モーツァルトの再来ともいわれる鍵盤の申し子クリスティアン・ベザイデンホウト、そして現代最高峰のチェロ奏者・通奏低音奏者のクリスティン・フォン・デア・ゴルツという最高の三名によるバッハ作品集の登場。2023年にこのメンバーで来日公演も行われており、その素晴らしい演奏は語り草となっております。待望の録音の登場です。
ファウストとベザイデンホウトは2010年にブリュッヘン指揮18世紀オーケストラでベートーヴェンの三重協奏曲を演奏してからの付き合い。2016年にはバッハのヴァイオリン・ソナタ集BWV1014-1019を録音(HMM-902256)、世界で高く評価されました。通奏低音のクリスティン・フォン・デア・ゴルツはFBOで長年首席奏者を務める最高峰のチェリスト&通奏低音奏者。ベザイデンホウトはFBOの音楽監督を務めておりましたし、イザベル・ファウストもFBOとの共演も豊富、まさに互いの息の綾をよく知った友人同士でもある、望みうる最高のメンバーといえます。
ファウストのヴァイオリンは実に雄弁にして、一切の迷いのないまっすぐな音色が極上の陶器のようななまめかしい美しさ。時折何かにとりつかれたように衝動的に入る装飾など、いつもファウストの演奏には何か人智を超えたところと通じているような瞬間があります。ベザイデンホウトのチェンバロはこれまた変幻自在でふとしたパッセージの絶妙な間や、決して邪魔にはならないけれどもきちんと意味のある装飾など、相変わらずの天才ぶり。ゴルツの通奏低音も影になり日向になりながら、三人のアンサンブルを実は一段と大きな音楽とふんわりとした音色で包み込んでおります。
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HARMONIA MUNDI
発売・販売元 提供資料(2025/07/31)
=楽曲について=
J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのソナタ&パルティータや、ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタに比べると、そのほかのヴァイオリンが主となる室内楽ソナタは演奏機会が意外と少ないといえるでしょう。それらは機会音楽であり、家庭内、あるいは弟子たちとの演奏のために、あるいはほかの作品の初期稿あるいは楽器編成を変えた形のものとして書かれました。このCDでは、このもっと注目されるべきレパートリーを収録しております。
ホ短調ソナタ BWV 1023 は、奏者の高い弓の技術が要求される複雑な分散和音や左手の高いポジションへの移動を特徴とする、特にヴァイオリン奏者にとってヴィルトゥオジティが要求される作品。ピゼンデル(1687-1755、テレマンのアンサンブルで活躍し、ヴィヴァルディにも大きな影響を受けた)に出会ったことが刺激となって書かれたとする説もあります。
ト長調のソナタ BWV 1021は、バッハが妻のアンナ・マダレーナと共に手書きした楽譜によって伝えられています。この楽譜は、アンナ・マダレーナがすべての音楽を写し取り、タイトルや楽章の見出し、数字付き低音の追加は夫に任せています。テレマンを想起させる瞬間もある美しい作品です。
ハ短調のBWV 1024は、18世紀前半の2つの匿名の手稿から伝承されています。メンデルスゾーンの友人でライプツィヒ・ゲヴァントハウスのコンサートマスターも務めたヴァイオリニスト、フェルディナント・ダーフィト(1810-73)が、1867年に出版した自身の書物の中でこの作品の楽譜をバッハ作であると掲載しましたが、現在もこの作品が実際に誰の作なのか、特定はされていない状況です。
ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ第6番 BWV 1019は最終的には5楽章で、真ん中にチェンバロ独奏の楽章が配された楽曲ですが、複雑な作曲プロセスの中で楽章が複数回置き換えられました。このCDに収録されている初期稿の3つの楽章には、バッハの自作のカンタータのアリアの器楽編曲も含まれます。
ヴァイオリンと通奏低音のためのフーガ ト短調 BWV 1026は、4分ほどの小曲ですが、ヴァイオリンの重音奏法や即興的なパッセージを含み、変化に富んだ展開を見せる楽曲です。
オブリガート・チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタは3曲残されており、これはチェンバロの右手と左手、そしてガンバによる3声の線的対位法が、ヴァイオリン曲よりもいっそう徹底して用いられています。特にこの楽曲は協奏曲風な掛け合いも楽しい充実の作品です。
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HARMONIA MUNDI
発売・販売元 提供資料(2025/07/31)
Isabelle Faust has emerged in the first rank of Baroque violinists, with a distinctively wiry, elegant tone on her copy of the so-called "Sleeping Beauty" violin of Stradivarius. Here, she takes up Bachs music for violin and continuo. The program consists of a miscellany of pieces from early in Bachs career, and they are relatively rarely heard. This has not stopped Faust fans from placing the album on classical best-seller charts in the late summer of 2025. Consider the graceful phrasing of the Adagio first movement in the Sonata in G major for violin and continuo, BWV 1021, for a good example of Fausts style. The continuo, made up of cellist Kristin von der Goltz and harpsichordist Kristian Bezuidenhout, has a crunchy, slightly rough sound that contrasts beautifully with Fausts playing. There is a probably non-Bach work here, the Sonata in C minor for violin and continuo, BWV 1024; it was previously attributed to Bach, and annotator Peter Wollny seems to come down on the side of the idea that it still might actually be Bachs work. So, it might seem, does Faust, whose opening Adagio makes the work seem like one of the big, dramatic early Bach minor-key works. Harmonia Mundis murky sound, from a Mennonite church in Haarlem, is a substantial negative, but these are Bach pieces that are rather obscure, and here they receive their due. ~ James Manheim
Rovi