アース・ウィンド・アンド・ファイアー 初のライヴ+スタジオ録音アルバム『Gratitude』(放題:灼熱の狂宴)
1975年作品。前作のヒットを受け発売された、ライヴ音源と新しいスタジオ音源の2枚組アルバム。75年に全米各地で行われたライヴの音源を編集したものは、即興演奏の割合が高く、まさに邦題通りの"灼熱の狂宴"が繰り広げられる。特にギターのアル・マッケイとジョニー・グラハム、本作から正式にクレジットされたフェニックス・ホーンズのキレは抜群だ。名バラード「デヴォーション」「リーズンズ」の間に置かれたラムゼイ・ルイスとの共演「太陽の女神」における重厚なプレイは本ライヴの白眉か。後半に用意されたスタジオ録音の新曲(制作はモーリス・ホワイトとチャールズ・ステップニー)では、R&Bチャート1位を記録した小気味よいアップ「シング・ア・ソング」、スキップ・スカボロウ作のドラマティックなバラード「キャント・ハイド・ラヴ」が秀逸。全米1位・R&B1位を獲得。
発売・販売元 提供資料(2025/05/30)
With That's the Way of the World having made Earth, Wind & Fire one of the best-selling soul bands of the 1970s, Maurice White and co. had no problem filling large arenas. As dynamic as EWF was on-stage, it's a shame that there isn't more documentation of the band's live show. Only one live EWF album was released by a major label in America, the superb Gratitude. First a two-LP set and later reissued on CD, Gratitude brilliantly captures the excitement EWF generated on-stage at its creative peak. Neither hardcore EWF devotees nor more casual listeners should deprive themselves of the joys of the live versions of "Shining Star" and "Yearnin' Learnin'." Maurice White is magnificent throughout, and Philip Bailey truly soars on extended versions of "Reasons" (which boasts a memorable alto sax solo by guest Don Myrick) and "Devotion." The album also introduced some excellent new studio songs, including the haunting "Can't Hide Love" and the uplifting "Sing a Song." One could nitpick and wish for live versions of "Evil," "Keep Your Head to the Sky," and "Kalimba Song," but the bottom line is that Gratitude is one of EWF's finest accomplishments. ~ Alex Henderson
Rovi
しかし、EW&Fはその頃からどんどん進化していった。ところがアルバム「太陽神」が出てピークに達した彼らは、なぜかその後、徐々に求心力を失ってヒットチャートから遠ざかっていく。実は、その遠因にリーダーのモーリス・ホワイトの病気が影響していたことは余り知られてはいない。どうも彼は元々丈夫ではなかったようだ。本作のライナーノーツを読むと、その辺りの事情が書かれており、興味深い。
いずれにせよアースは当時、無敵のバンドであった。それは本作のライブ音源を聴けば明らかである。聴衆の歓声と熱気は半端なく、演奏もそれに応えて完璧である。サックス・ソロなどの即興演奏が多いライブを聴くと、彼らのルーツはアフリカンであり、ジャズであることが明確に分かる。私はそのことに強い共感を覚える。しかしビジネスとして成功するには、ジャズだけでは難しい。きっと彼らも悩んでいたに違いない。だからこそ本作は、剥き出しになったアースの正体と本質が、思う存分味わえる。
スタートから怒涛のアフリカンリズムを前面に押し出し、聴衆を引きつけていく。そして私の大好きな曲「太陽の女神」ではファンキーなギターのカッティングに合わせて、重厚なホーンセクションとベイリーの高音ヴォイスが美しいハーモニーを奏でる。つまり彼らこそ、ソウル、ファンク、ポップ、ジャズをフュージョンさせた最高のエンターテインメント・バンドであった。事実、彼らを超えるようなトータルな演奏をするバンドは以後、現れていない。