NYジャズ最前線!Martin Nevin, Allan Mednardとの進化するトリオ第2弾
音楽美あふれるエリントンを含むスタンダードやカバー、多彩なオリジナルの数々
洗練されたハーモニー、メロディと、即興的な交感とが交わるトリオ演奏の理想形
現在進行形のNYジャズの最前線で活躍するピアニスト、ジュリアン・ショアによる待望の2024年録音最新作。本作はMartin Nevin,Allan Mednardとのトリオによる第2弾。2023年にセルフ・タイトルでリリースされた前作は、パンデミックによるロックダウン解除後に行われた即興的なセッションから生まれたものだったが、本作は、それから2年以上の時を重ねた進化が注目だ。
構成はオリジナルを軸に、新旧のスタンダード・カバー3曲(LPは2曲)―カバー曲は、エリントンの「Blues in Blueprint」と、「All the Things You are」(そして、CDにはビーチ・ボーイズの「Don't Talk(Put YourHead on My Shoulders)」)。その選曲の幅広さから見てもこの作品の振り幅の大きさがうかがえるが、演奏も実に興味深い。ミディアムのスウィング感とシンプルなメロディの美しさを、洗練されたハーモニーでアップデートするエリントン・ナンバー、メロディを大胆に解体しつつ、原曲のコード進行から綱渡りのように曲を導いて再構築する「All the Things You are」、(そして、CDにはポップス・ナンバーをジャズ的世界に描き換えていくセンスと、)どれもがオリジナルだ。
一方、オリジナル曲も秀逸。この作品のためにショアが書いた楽曲の数々は、自身の個人的な経験に根ざすとともに、「音楽が語ってくれること」を大切にしたいという。「曲のタイトルに、自分の人生の様々な要素をほのめかしつつも全体を語ってしまいたくはない」とショア。それらは自身の音楽的なヒーローであり、メンターとしても仰いだウェイン・ショーターの音楽への敬愛とも結びつく。音楽は絶えず美しさをたたえつつ、聴き手が自分なりの関係性を築けるように自由で、未知のものに触れるようなミステリアスな世界観が満ちあふれる。そして、トリオの演奏も格段の進化を遂げた。
ショア曰く、「複雑で現代的な演奏から、伝統的なストレート・アヘッドなスタイルまで、喜びとスピリットをもって本物の演奏ができる」と賞するドラマー、アラン・メドナード。「成熟した音楽家で、常に全体を見渡して、音楽に今何が必要かを見抜いて演奏ができる」というベースのマーティン・ネヴィン。3人の演奏には即興的な音楽の交感が飛び交う。知性あふれる綿密な構想力と、高い集中力が生み出すスポンテニアスな演奏。伝統に根ざし、様々な音楽的要素を吸収しながら、現代的にアップデートしていくこのトリオへの興味は尽きることがない。レコーディング・メンバーでのツアーも楽しみだ!
発売・販売元 提供資料(2025/05/09)