Fourth Of Julyで知られるルーツ回帰の2015年作が10周年記念エディションでリイシュー。シンプルな編成によるフォーク・サウンドで仕上げられた内容は、キャリアにおいてもっともパーソナルなアルバムとして長らく愛されているもの。それだけにボーナス収録された未発表デモやアウトテイクなどの蔵出しは実に興味深い。この奥深さのさらに奥へ進むなら必携の一作だ。
bounce (C)大原かおり
vol.498(2025年5月25日発行号)掲載(2025/05/25)
2015年のアルバム『キャリー・アンド・ローウェル』の10周年アニヴァーサリー・エディション。 (C)RS
JMD(2025/05/10)
2015年のアルバム『キャリー・アンド・ローウェル』の10周年アニヴァーサリー・エディション。40ページのアート・ブックを含む2枚組仕様。
2015年3月、Sufjan Stevensは、これまでで最もパーソナルなアルバムである『Carrie & Lowell』をリリースした。予想外の明確なヴィジョンをもって発表されたこの作品は、意図的に簡素な楽器編成で、Sufjanのフォーク・ルーツへの回帰だった。アルバムはすぐに批評家から好評を博し、その後数年間、この音楽は私たちの共通の文化の織物に、その輝きを失わずに織り込まれていった。現在、BPIとRIAAのゴールド認定を受けており、収録曲「Fourth of July」はアメリカでプラチナのステータスを獲得。アルバムの文化的反響は拡大し続けている。
そのリリース10周年を記念して、Asthmatic Kitty Recordsは、『Carrie & Lowell (10th Anniversary Edition)』をリリースする。
このデラックス盤は、これまで未発表だったボーナス・トラック7曲、40ページのアート・ブック、そして、Sufjanによる新しいエッセイを含む拡張された2枚組LPの仕様で、オリジナルとは別のカバーも用意されている。オリジナルのアルバムは1枚のディスクに収められており、2枚目のディスクには「Death With Dignity」、「Should Have Known Better」、「The Only Thing」、「Eugene」のデモ・ヴァージョンを含む40分の追加曲が収録されている。また、「Fourth of July」と「Wallowa Lake Monster」のアウトテイクも収録されており、どちらもよりシネマティックな雰囲気を醸し出している。最後は、『Carrie & Lowell』のオリジナルのアルバム・セッションから取り出された「Mystery of Love」のオリジナル・デモで、ソロのギターと、歌詞が少し変更されたヴォーカルをフィーチャーしているだ(同曲は、後にLuca Guadagninoの『Call Me By Your Name』のために作り直され、再レコーディングされた)。
10年経った今、このアニヴァーサリー・エディションは、他の宝物とは違ったやり方をとっている。アルバムを解体したり、アルバムを基にしてその遺産を引き継いだりするのではなく、リスナーをリリースに至るまでの瞬間に連れ戻す。『Carrie & Lowell』は再び完全な形で発表され、このアルバムが辿り得たさまざまな道を垣間見させる。
発売・販売元 提供資料(2025/04/21)