私小説のように、自分の辿ってきた来た旅路を歌にし続ける、ナッシュヴィルのシンガー・ソングライター、Briston Maroney(ブリストン・マロニー)。共感性の高いストーリーテリングとオルタナティヴ・ロック・サウンドで同年代の共感を集め続けてきた彼が綴る、過去を振り返りながら自分らしさを探求する、誰かの物語でもある自分自身の物語の最新章、『JIMMY』完成。
ナッシュヴィルを拠点に活躍する若きシンガー・ソングライター、Briston Maroney (ブリストン・マロニー)。10代の頃から音楽活動を始めた彼は、2015年にインディーからデビューEPをリリースし始めるが、2018年、Canvas Back/AtlanticからリリースしたEP『CARNIVAL』から「Freakin Out on the Insterstate」が3年かけ2021年ゴールド・シングルを獲得し、その年デビュー・アルバム『SUNFLOWER』を発表。極めてパーソナルな視点から綴られた、まるで日記のようなソングライティングで聴くものの共感を集めてきた彼が、セカンド・アルバムとなる作品『JIMMY』をリリースする。
両親の離婚により、子供時代、そして青春時代を2つの場所を行き来しながら過ごしたBriston。今回リリースされる『JIMMY』は、その頃を振り返ることから生まれた作品だ。テネシー州ノックスビルという小さくて静かな街で父親と過ごしたマロニーは、比較的恵まれた環境ではあったが、大きな期待をかけられたカトリック学校の生徒としてプレッシャーをかけられていた。母親がいたフロリダ州北部は、アメリカ大陸のどの地域よりも生々しくリアルな風景が広がっており、彼は互いを気遣うだけの田舎の人々に囲まれていた。彼らは牡蠣焼きに顔を出し、土曜日には赤ワインで酔っぱらい、日曜日の朝には教会に行くためにぴかぴかになっていた。しかしBristonはそのどちらの層にも溶け込めなかったという。彼はノックスビルの父親とダムで釣りをするのが好きな田舎者であり、マングローブや松林の中に戻れば都会的なカトリックの小学生だった。しかし、彼はフロリダの人々の悪魔的なまでの世話焼き精神に惹かれた。その中で、特にBristonの印象に残っている人物がいた――デニムのショートパンツに白いマルガリータビルのTシャツを着て、ときどきデュラグを着ていた彼は、確かに田舎者だったかもしれないが、みんなに愛される良い友人だったとBristonは当時を回想する。その人物こそが本作『JIMMY』のインスピレーションの源となり、自分以外の何者でもない自分であろうとすることを歌ったこのアルバムのテーマになったのだった。(1/2)
発売・販売元 提供資料(2025/04/11)
ちなみに元々、Bristonはアルバム・タイトルを『JIMMY』と呼ぶつもりはなく、彼が9歳の頃に作った詩からとった『JELLYFISH』にするつもりだったという。しかし、それはBristonが初めて曲を書く1年前のことであり、彼が感じていた憂鬱を表現する言葉を持つ何年も前のことだった。その詩は、彼にとって極めて重要な瞬間だった。というのも、彼は突然、芸術と自己表現――この時点では詩だったが、その後の20年間は主に音楽――を使えば、自分の心、心臓、そして人生の混乱を理解することができると気づいたからだ。しかし、Bristonはやがて『JELLYFISH』が、実際にアルバムの中で歌われているテーマ、精神的、社会的、感情的な樽の底をこすりながら、人生の真の傑作と思えるようなこと、つまり、ただ自分らしくあることをするのに十分な時間を持ちこたえることを表現するタイトルとしてはあまりにも救いが無いように思えたという。
アルバムをリリースする発表に合わせ、彼は自分が育った2つの世界を描いた曲をリリースした。それは「Tomatoes 」と 「Bullshit 」であり、「Tomatoes 」は、思春期以降の混乱と、反抗的なフックに弧を描く意志的な特異性をグランジ調に描いたもので、「Bullshit 」は、JIMMYの中のすべての葛藤を3分に凝縮したものだという。またアルバムには先行トラックとして発表された、Bristonが育った中で出会った人々をスナップショットのように捉えたロック・ナンバー「Real Good Swimmer」も収録されている。
私小説のように、自分の辿ってきた来た旅路を歌にしてきたBriston Maroney。彼はこれからも音楽を通し自分探しをしていくと語り、その過程で自分の歌が誰かの心に響くことを願っている。精神的にも、肉体的にも、感情的にも、そして音楽的にも。人生の試行錯誤の中で発見した自己への深い理解だけでなく、個人的な成長を映したアルバムを彼はきっとこれからも作り続けるのだろう。いつか日記のように振り返ることの出来る、きっと誰かにもあてはまるBriston Maroneyの物語の最新章が完成した。(2/2)
発売・販売元 提供資料(2025/04/11)
ナッシュヴィルを拠点とするシンガー・ソングライターのサード・アルバム。過去を振り返りながら、自分らしさを自身に問いかけて作ったそうだが、アコギの(ほぼ)弾き語りも交えつつ、エレキ・ギターを掻き鳴らして、そんな内省を吹き飛ばしてしまうんだから痛快だ。パワー・ポップ、ガレージに加え、ラップも飛び出す。シンガロング必至のアンセミックな魅力もあり。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.498(2025年5月25日発行号)掲載)