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祖父の見た陸軍中野学校 一期生の資料は語る

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フォーマット 書籍
発売日 2025年05月30日
国内/輸入 国内
出版社岩波書店
構成数 1
パッケージ仕様 -
SKU 9784000255851
ページ数 252
判型 46

構成数 : 1枚

はじめに──祖父、阿部直義

一期生一覧

第一章 徴兵、そして中野学校へ
1 立正大学で研究職を目指す
卒業論文「法華神道論」
満州事変、戦乱の時代へ
二・二六事件と阿部の視点
「合格になった私の身にもなって見ろ」
2 事変下の満州へ
高田歩兵連隊に入営する
事変下の満州へ向かう
幹部候補生教育を受ける
「匪賊」への警備行動
3 日中戦争下の満州にて
盧溝橋事件勃発
ハルビン特務機関による諜報活動
阿部の見た「戦争」
満州から帰国する
陸軍歩兵学校へ

第二章 わかりにくい組織
1 中野学校の概要
様々な誤解
中野学校の沿革
学生の種類
陸軍の組織と文書
現役と予備役の違い
2 中野学校設立の背景
共産主義の脅威と陸軍の対応
陸軍省の防諜組織と「防共」
防諜研究所の新設
3 防諜研究所と後方勤務要員養成所
防諜研究所をめぐる問題
陸軍省の所掌と「陸軍省官制改正案」の廃案
後方勤務要員養成所への改組
「勅令「後方勤務要員養成所」令」とは何か
4 中野への移転
中野への移転と軍用鳩調査委員
中野移転の経緯
「後方勤務要員養成所長 上田昌雄」
神戸事件
5 陸軍中野学校の設立と組織変遷
学校への改組の背景
陸軍中野学校令
参謀総長直轄学校へ
組織改編の経緯

第三章 学生の生活と教育内容
1 学生の銓衡と教育理念
どのような面接だったか
学生の銓衡と、学生に選ばれた者
一期生の入所
何を教育理念としたのか
2 学生生活
学生の日常
背広を着た長髪の軍人
戸籍は抹消したのか
親族、友人、知人との関係
秘密裏にポーランド人と連絡を取る
3 専任教官
近かった専任教官と学生との距離
「対ソ諜報の第一人者」秋草俊
防諜畑の福本亀治
急進的思想を持った伊藤佐又
学生間に生じた軋轢
4 教育の概要
何をどれだけ学んだのか
どこまで習得できたのか
5 一期生の記録に見る教育内容
訓示
学科
術科
実習・見学1 自動車実習など
実習・見学2 航空実習など
「忍術」を学ぶ意義
満州戦術旅行、その呼称と概要
一行の行動
6 様々な部署に配属された一期生

第四章 在ボンベイ領事館での勤務
1 緊迫した情勢下での赴任
参謀本部に配属される
外務省との折衝
花子との結婚
花子を連れての赴任が決まる
着任する
2 インドにおける阿部の活動
「日本人から見破られることは任務の失敗」
情報は新聞、雑誌、書籍から
情報提供者との面会
重要な情報源だった花子との散歩
「プリンス・オブ・ウェールズ」と「レパルス」
3 開 戦
妻子の帰国
重視されなかった花子の報告
開戦前夜
開戦日の朝
4 抑留時代
開戦直後の領事館
他公館からの合流
ムスリーへ
帰国に向けて
帰国の途
身分秘匿の悲哀
5 「印度事情報告」
6 帰国後の阿部と、そのインド観
帰国から阿部にとっての終戦まで
阿部のインド観

おわりに──一期生教育とその活動、中野学校という...

  1. 1.[書籍]

全国から集った一期生たちの遺した未公開の講義録や日記、メモ等の一次資料から、学生選考の実際やカリキュラムの中身、学生の日常生活、卒業後の進路など、謎多き組織の等身大の姿に迫る。設立当初の理念や期待された役割なども考察。戦況の悪化とともに大きく方向転換していく「前夜」、当事者たちの見た「夢」とは何だったのか?

作品の情報

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著者: 池田真之

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著者の祖父は旧陸軍が養成したスパイ第一期生であり、その本人が生前に書き残した記録を著者がまとめた本だ。ただし、記録に基づいて巷間の俗説や過去の証言を点検し、中野学校の実像に迫る部分がかなり多い。
派遣されたインドでの活動はフィクションのような派手さが全くなく、ひたすら地味だが、それが諜報員の実体なのだろう。陸軍の軍人であるにも拘らず、一貫してリベラル指向なのが興味を引く。戦後の振舞いも含めて、誠実な人柄が偲ばれる。
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