| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2025年04月28日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 草思社 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784794227812 |
| ページ数 | 224 |
| 判型 | 46 |
構成数 : 1枚
はじめに
第1部 自壊する北朝鮮
第1章 金正恩が南北統一を放棄
金正恩が演説で祖父と父を否定
朝鮮半島現代史の本質
「韓国は平定すべき敵国」
「金日成ではなく自分を太陽と呼べ」
歌えなくなった「統一の虹」
墨塗りだらけの教科書
朝鮮総連でも統一否定で大騒動
金日成と金正日の教えを否定
朝鮮学校の教科書に大幅修正
朝鮮地図も使用禁止
第2章 南への憧れで北朝鮮が内部崩壊
止まらない韓国への憧れ
韓国ドラマのなかの豊かさ
脱北者の語る絶望
自由を求めて海を渡る人々
反社会的な若者が急増
犯罪行為は韓国文化のせい?
青年に課された16の禁忌
言葉遣いまでが規制の対象
不適切な言葉遣いだけで死刑も
人権活動家が流すペットボトル
風船にゴミをつけて南へ
第3章 通常兵力でも韓国軍にかなわない、核戦略の大変化
終焉を迎える世襲政権
核攻撃の照準は在日米軍
金正日の奇襲南進作戦
休戦直後に始まった核開発
ウクライナ侵攻で得た教訓
相次ぐ「戦略核」訓練が意味するもの
第2部 分裂する韓国
第4章 尹錫悦の狂乱、陰謀論を信じて戒厳宣布
戒厳宣布から内乱罪容疑の逮捕へ
野党多数の国会からの圧迫
「戒厳司令部布告1号」の驚くべき内容
国会制圧は明らかな憲法違反
医療人への不当な圧力
選挙管理委員会への軍派遣
韓国保守の崩壊と与党分裂
戒厳支持・大統領支持を続ける人々
保守派デモは反大統領デモの数倍規模
政治系動画サイトでつながる支持者と大統領
不正選挙陰謀論が保守派に拡大
中国・北朝鮮と結託する野党?
大統領が主張する大規模選挙不正
指摘された選挙不正はなかった
選管へのハッキングの事実はなかった
投開票不正も隠蔽も存在しない
中国人ハッカー大量逮捕はフェイクニュース
不正選挙陰謀論の広がり
保守派が自由主義者と陰謀論者に分裂
第5章 韓国医療を危機に追い込む尹錫悦の「医療改革」
医学部定員2000人拡大への批判
韓国の医療保険制度の構造的問題点
最高水準の医療を安価に提供
医師たちを揺さぶる深刻な司法リスク
医師不足との認識への疑問と反発
尹大統領の主張を裁判所が
第3部 国際関係の中の朝鮮半島
第6章 金正恩はなぜウクライナ侵略戦争に派兵したのか
ウクライナへの北朝鮮参戦
北朝鮮兵はロシア軍の「弾よけ」
脱走者対策の「射殺組」
朝鮮半島での局地戦を想定
ウクライナでの戦闘結果に関心
石油が見返りの兵器貿易
常任理事国ロシアが国連軍と交戦
プーチンからの派兵要請
ゴミのような兵器がロシア軍に
派兵と引き換えのプーチン訪朝
北朝鮮兵の死傷者数が深刻に
第7章 習近平の金正恩いじめの驚くべき実態
習近平が強調する「密接な意思疎通」
北朝鮮への食糧・肥料の輸出ストップ
CNC旋盤密輸事件の衝撃
密貿易の取り締まり強化
中国経由の脱北者が急増する可能性
第4部 朝鮮半島と日本
第8章 今後の南北コリア
戒厳の失敗を北朝鮮はどう見たか
...
2023年末、金正恩は突然、父祖以来の南北統一路線を放棄して、韓国を「敵」と見なすことにした。それは驚くべき方針転換だった。北朝鮮の国是を変え憲法も変えるという大転換だ。(日本の朝鮮労連へも命令は届いている)。一方の韓国では2024年12月に尹錫悦(ユンソギョル)大統領が左派の策謀におびえて戒厳令を宣布したが失敗し、弾劾裁判にかけられるという一大事件が起きた。二国で並行して進む混乱や狂騒はどこへ向かうのか。本書はこの朝鮮半島の歴史的変動を詳細にリポートし、日本はどう対処すべきかを考えるノンフィクションである。
北朝鮮は南のK-POPや韓国ドラマの浸透、風船を使った脱北者の宣伝活動がじわじわと浸透して住民が豊かで自由な韓国文化に強い憧れを抱くようになり、体制の危機を感じるようになった。文在寅(ムンジェイン)前大統領の任期半ばまであった南北融和ムードはいまや完全に断たれ、開城にあった南北統一の記念館は爆破された。北は長年、南へ多くの地下工作員を潜航させて体制転覆を画策してきたが、政治工作での乗っ取りはかなり成功していたものの、それもすべて止めにして金一族だけを守る、うちに閉じこもる政策に変わった。一方で北との体制競争でほぼ勝ったと思われる韓国では、自らが北に勝ったという意識は希薄でただ経済的繁栄を謳歌するばかりだ。
金一族の経済的困窮は開国開放を求め、港湾の利用を求める習近平の中国との仲たがいから援助を打ち切られ、ウクライナ戦争で手助けがほしいプーチンのロシアに傾いていった。泥沼化するウクライナ戦争へ兵器だけではなく兵員まで貸し出して、代わりに食料やエネルギーなどの援助を仰ぎ、ようやく一息ついているありさまだ。兵員の派遣は21世紀の人身売買のようなものであり、一人いくらの貸し賃で数千人あるいは数万人規模の兵隊を送り込んでいる。弾除け代わりに使われる北朝鮮兵士はすでに数千人の死者が出ており、最大10万人まで送り込むと金正恩は広言しているという。
韓国の尹錫悦大統領は戒厳令を宣布したが失敗し、弾劾裁判にかけられることになった。不正選挙が行われ、国会が左派に乗っ取られているという妄想が高じて、独断的に戒厳令を出したのだが(この不正選挙陰謀説は根拠薄弱)、弾劾罷免されるだろう。しかしその過程の中で右派と左派が大動員をかけ数万人規模のデモが連日行われている。新大統領選出の選挙が近日おこなわれるが、極左極右の暴力的対立が危惧されている。
アメリカでトランプ政権が誕生し、北の頼る国は日本と米国しかなくなるだろうというのが著者の見立てだ。著者はこの機に乗じて拉致問題の全面的解決をはかるべきだという見解を述べている。いずれにしろ、朝鮮半島の未曽有の混乱は今後どうなるか、それを考えるために本書は格好のリポートであり、日本におけるこれらの問題の第一人者である著者の見識は大いに参考になるだろう。

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