1969年にデイヴが発表した『Ode To Quetzalcoatl』はドラッグの地獄から這い出て神の元で心の安らぎを得るコンセプト・アルバムだった。500枚とも1,000枚ともいわれるプライベート・プレス盤LPながら、地元ミシガン州グランド・ラピッズ周辺でこのアルバムは好評を得て、宗教系グループ・ミーティングで行われたライヴも毎回コンスタントに数百人を動員。そんな勢いに乗じて作られたセカンド・アルバムが『Second Coming』だ。デイヴのアコースティック・ギター弾き語りを主軸に、ソロ名義でリリースされた『Ode ToQuetzalcoatl』に対し、ハービンジャー(=キリストの言葉を告げる者)名義の本作は複数メンバーによって録音されたグループ・アルバム。作詞作曲はすべてデイヴによるものだが、前作にも参加していたギタリスト、ブライアン・マッキネスの演奏パートが増え、サンディ・ジョンソンの女声ヴォーカル、ドン・デグラーフのベースも音楽性に深みと拡がりをもたらしている。 (C)RS
JMD(2025/03/29)
キング・オブ・ダウナーことデイヴ・ビクスビーが1969、1970年に発表した2枚の激レアプライベート・プレスが最新リイシュー!
トラビス・スコットが2023年に発表した「パラセイル」でも大胆にサンプリングした、あまりにも孤独でそして寂寥に満ちたサウンドと歌声が現代に蘇る!
1969年にデイヴが発表した『Ode To Quetzalcoatl』はドラッグの地獄から這い出て神の元で心の安らぎを得るコンセプト・アルバムだった。500枚とも1,000枚ともいわれるプライベート・プレス盤LPながら、地元ミシガン州グランド・ラピッズ周辺でこのアルバムは好評を得て、宗教系グループ・ミーティングで行われたライヴも毎回コンスタントに数百人を動員。そんな勢いに乗じて作られたセカンド・アルバムが『Second Coming』だ。
デイヴのアコースティック・ギター弾き語りを主軸に、ソロ名義でリリースされた『Ode To Quetzalcoatl』に対し、ハービンジャー(=キリストの言葉を告げる者)名義の本作は複数メンバーによって録音されたグループ・アルバム。作詞作曲はすべてデイヴによるものだが、前作にも参加していたギタリスト、ブライアン・マッキネスの演奏パートが増え、サンディ・ジョンソンの女声ヴォーカル、ドン・デグラーフのベースも音楽性に深みと拡がりをもたらしている。アパートの居間でレコーディングした前作に対し、正式なスタジオでマイク・ジェネラロヴィッチをエンジニアに起用して、デイヴの歌声もまた、息づく音まで聞こえるリアルなものだ。
前作はドラッグ禍や疎外感などダークな閉塞感もあったが、本作ではよりオープンな世界観が描かれている。"宇宙のエネルギー"を歌った「Cosmic Energy」、瞑想を奨励する「Time To Clear Your Mind」、から"来たるべき預言者"エリヤに捧げる「Ode To Elias」まで、空間を生かした音作りが開放的だ。
ただ、デイヴの新たな苦悩が見え隠れするのも『Second Coming』の特長だ。本作のベーシストそしてプロデューサーとしてクレジットされているドン・デグラーフは宗教集団"ザ・グループ"のリーダーでもあり、このアルバムは1970年にリリースされると信者のあいだで好セールスを記録するが、デイヴは"広告塔"として祭り上げられることに拒否反応を示す。そんな葛藤が顕著に表れているのが「Circus World」で、「ゲームと童謡でいっぱいのサーカス・ワールド」を後にするというもの。実際に本作を発表後、デイヴは"ザ・グループ"と袂を別つことになるが、そんなドラマ性も魅力のひとつだ。
発売・販売元 提供資料(2025/03/28)