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免疫性神経疾患ハンドブック(改訂第2版)

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フォーマット 書籍
発売日 2025年05月23日
国内/輸入 国内
出版社南江堂
構成数 1
パッケージ仕様 -
SKU 9784524211760
ページ数 384
判型 B5

構成数 : 1枚

【書評】
「未来の神経免疫学への羅針盤―『免疫性神経疾患ハンドブック(改訂第2版)』をひもとく」

近年,自己免疫機序による神経疾患の研究は飛躍的に進展し,臨床現場でも新たな診断基準や治療薬の登場によって,診療のパラダイムが大きく変わりつつある.そうした変化を的確に捉え,現在進行形の神経免疫学の全体像をコンパクトにまとめた一冊が,本書である.

本書の大きな特徴は,第一線で活躍する神経免疫学の専門家たちが執筆を担当しながらも,全体として統一感ある構成と記述を保っている点にある.個々の章がバラバラにならず,初心者にも無理なく読み進められるよう,疾患ごとの記載が一貫したフォーマットで整えられている.そのため,「神経免疫疾患とはそもそも何か?」という初学者の問いに対しても,自然と理解が深まる作りになっている.
特筆すべきは,従来の知識の整理に留まらず,最新の病態研究―たとえば自己抗体の発見や神経系における免疫細胞の役割―についても平易かつ的確に解説されている点である.また,新規治療薬(抗補体療法やFcRn阻害薬など)の作用機序や臨床的有用性についても,臨床試験の結果を踏まえて紹介されており,臨床と研究を橋渡しする視点が随所にちりばめられている.

本書を手にした若手医師のなかには,「神経免疫疾患」と聞くと難解で複雑な印象をもつ方もいるかもしれない.しかし本書では,Guillain—Barré症候群,慢性炎症性脱髄性多発神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy:CIDP),視神経脊髄炎,自己免疫性脳炎など,実臨床で出会う頻度の高い疾患を軸に据え,それぞれの病態,診断,治療が過不足なくまとめられている.さらに,発症メカニズムに関する最前線の知見が,図表や模式図を活用して視覚的にも理解しやすく提示されているため,難しさを感じることなく読み進めることができるだろう.

読み進めるうちに,「なぜ免疫が神経を攻撃するのか?」「この自己抗体はどこから生まれるのか?」といった,より深い問いが自然と湧いてくる.その好奇心こそが,若い読者を神経免疫学の世界へと導くきっかけとなるはずだ.

臨床に携わる医師にとって,神経免疫疾患の理解はもはや専門家だけのものではなくなっている.高齢化社会の進展とともに,多彩な免疫関連神経疾患に遭遇する機会は今後ますます増えるだろう.本書は,そのような時代において,診療の現場と研究の最前線をつなぐ羅針盤となるに違いない.

脳神経内科を志す若手医師や,これから神経免疫学の扉を開こうとするすべての方に,ぜひ手にとっていただきたい一冊である.

臨床雑誌内科137巻1号(2026年1月号)より転載
評者●戸田達史(国立精神・神経医療研究センター 病院長)


【目次】
第I章 総論
A 免疫性神経疾患と細胞性免疫
1.神経免疫学の発展
2.細胞性免疫の基礎
3.神経免疫学 -基礎から最近の動向まで
B 免疫性神経疾患と液性免疫
1.免疫性神経疾患と液性免疫の関わり
C 血液脳関門(BBB)と血液神経関門(BNB)
1.構造と機能
2.免疫性神経疾患とバリアの研究・臨床応用
D 免疫性神経疾患と幹細胞(iPS細胞の活用を含む)
1.神経炎症と幹細胞
2.神経免疫疾患とiPSCs研究
E 免疫性神経疾患と腸管免疫
1.腸内細菌が神経炎症を...

  1. 1.[書籍]

多発性硬化症,Guillain-Barré症候群をはじめとした免疫性神経疾患に関する最新の臨床実績と研究成果を,第一人者たちが詳しく解説.幅広い疾患の疫学,病理・病態,神経学的所見,診断,治療を網羅.改訂ではこの間に解明された病態や新薬などの新知見を盛込み,ガイドラインの改訂にも対応.実践に即役立つエッセンス満載で,必読の一冊.

作品の情報

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編集: 楠進海田賢一

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