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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2025年04月14日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 文学通信 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784867660799 |
| ページ数 | 440 |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚
凡例
『文体史零年』のための序
――『吾輩は猫である』の文体から(多田蔵人)
一 「吾輩は猫である」はどんな口調か/二 近代文学、文体のラビリンス/三 現在の研究状況と本書の提言
第I部 散文
第1章
紅葉の文範、文範としての「二 人比丘尼色懺悔」(馬場美佳)
はじめに 小説を書きたくなる文体/一 紅葉が意識した文範/二 小説文範としての「色懺悔」/三 作文文範としての「色懺悔」/おわりに
第2章
「同胞姉妹に告ぐ」と『穎才新誌』
――一八八〇年代前半における政治とジェンダーをめぐる表現史の水脈(倉田容子)
はじめに/一 「同胞姉妹に告ぐ」/二 『穎才新誌』における男女(不)同権論争/
三 政治とジェンダーをめぐる表現史の水脈/おわりに
第3章
無口な英雄
――矢野龍渓『経国美談』と演説の時代(多田蔵人)
一 口ごもる政治家/二 演説の時代/三 沈黙の文体/四 文を読む声の系譜
第4章
写生文とは何か(都田康仁)
一 写生文というジャンル/二 文における写生の試み/三 文における「美」/四 絵画という方法/おわりに
第5章
大西巨人『精神の氷点』のスタイル
――実験小説による「世代の自己批判」(杉山雄大)
一 『精神の氷点』と『暗い絵』/二 共有された「暗い青春」の表象/三 世代の自己批判者として/四 ヒューマニズムの切断/五 唯物論とヒューマニズム
❖ 文範百選・壱――小説・アンソロジー・小説作法・言文一致・演説
第II部 詩歌
第6章
「里川」考
――佐々木弘綱『詠歌自在』の歌語(堀下翔)
はじめに/一 「里川」の語誌/二 弘綱の影響力と作法書間の対立/三 「里川」の詠まれよう/四 旧派和歌の圏外への伝播/おわりに
第7章
明治四十年代における連句をめぐる交流圏
――俳書堂の連句関連書籍を手掛かりとして(田部知季)
一 近代連句史の空白/二 籾山江戸庵の『連句入門』と『連句作例』/三 連句をめぐる交流圏の広がり/四 萩原蘿月の連句観/五 創刊当初の『冬木』
第8章
和文と唱歌教育の交差
――稲垣千穎『本朝文範』、『和文読本』と『小学唱歌集 初編』の関係を中心に(栗原悠)
はじめに/一 稲垣千穎とは誰か/二 「国楽」と黎明期の唱歌教育/三 千穎と『小学唱歌集 初編』の作詞(一)/四 千穎と『小学唱歌集 初編』の作詞(二)/五 『本朝文範』における編纂方針/六 『和文読本』における編纂方針
第9章
詩語・詩礎集は近代の漢詩に何をもたらしたのか
――『詩語砕金』『幼学詩韻』『幼学便覧』などを例に(合山林太郎)
はじめに/一 「熟字」「熟語」の文化圏―詩語・詩礎集の特徴―/二 詩語・詩礎集における部立ての変遷/三 詩語・詩礎集を用いて詩作するとはどのようなことか―少年期の正岡子規を例に―/四 詩語・詩礎集のもたらしたもの―明治期の文章から―/おわりに
❖ 文範百選・弐――写生文・叙事文・漢詩・和歌・短歌・俳句・近代詩・童謡・紀行文・日記・音曲
第III部 書く読者たち
第10章
日清・日露戦争期における美文・写生文と文範
――異文化を描く文体(北川扶生子)
一 書く読者た...
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★書評掲載
・『図書新聞』3690号(2025年6月7日、評者・中山弘明氏)
・『日本文学』Vol.74(2025年11月号、評者・木村洋氏)
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小説、日記、手紙、詩歌、演説、さらにはSNSの投稿文に至るまで、さまざまな目的で書かれた「文」には、意識的にも無意識的にも多彩な文体が選ばれ、表現されています。
けれども、使われた言葉の特徴や微妙なニュアンスは、時が経つにつれて次第に薄れ、忘れ去られることが少なくありません。本書では、それらの言葉を再び蘇らせるために、文学愛好者や言葉を学び始めた人々に向けて出版された数多くの〈文例集〉—大量に出版された語彙集や作法書、実用書、アンソロジーなど—を手がかりに、文体の背後に隠れた深層に迫ります。
これまであまり注目されることのなかったこれらの資料群から、無名・有名を問わず多くの作家たちが描いた文学作品における文体の実態をとらえ、14篇の論考と100冊の書目解題を通じて、文学の実作とそれを受け取る人々の間にあった〈意味〉の輪郭を鮮やかに復元していきます。
【本書のポイント】
◉〈文例集〉を文学研究における重要な資料群として新たに提案
◉14篇の研究論文を通じて、散文や詩歌の作者たちとその読者が〈文例集〉とどのように関わりを持ったのかを解明
◉100冊の書目解題と書影を掲載したカタログ「文範百選」を収録
【……文学研究が小説や詩の言葉を「現代語訳」した意味内容だけを考察対象とするのではなく、右にみてきたような文体のトーンや混淆ぶりを含みこんだ形で捉えて分析するにはどうすれば良いか? そうした問いに手がかりを与えてくれるのが、本書で〈文例集〉と総称する資料群です。近代には右に見てきたような文体状況と呼応するように、様々なジャンルにわたる語彙集や文例集、作法書、あるいは個人・流派ごとのアンソロジーが、実用的な言葉の初学者用入門書からかなりの文学愛好者に向けた書物にいたるまで、大量に出版されていました。書簡、日記、美文、論文、翻訳、金言・教訓、紀行文、近代詩、戯曲、音曲、漢詩、和歌・短歌、俳諧、言文一致会話、説教、朗読、演説、労働者の言葉、小説―ずいぶん読まれていたらしいにもかかわらずどの古本屋でもボロボロになって本棚の隅に置かれており、図書館でもあまり顧みられていないこれらの文例集こそ、失われつつある近代文学のニュアンスを読みとくための「類型辞書」ともいうべき役割を果たしてくれる資料群なのです。】……『文体史零年』のための序―『吾輩は猫である』の文体から(多田蔵人)より
執筆者:多田蔵人/馬場美佳/倉田容子/都田康仁/杉山雄大/堀下翔/田部知季/栗原…

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