今、新たな音楽の震源地として注目を集めているサウス・ロンドンのジャズ・シーンから登場した新生代のマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサー/ヴォーカリスト/DJ、エマ・ジーン・サックレイ。UKアシッド・ジャズの最重要人物の一人でもあるDJ、ジャイルズ・ピーターソンのレーベル、Bronswood Recordings / Parlophone Recordsからの第1弾となるニュー・アルバム『WEIRDO』をリリース!独自なスタンスとジャンルの境界を曖昧にした並外れた音楽性を持つ唯一無比のアーティストによる傑作がここに誕生!
近年エズラ・コレクティヴやユセフ・デイズなど、ジャンルに囚われないハイブリッドな魅力を持つミュージシャンが次々と飛び出し、新たな音楽の震源地として注目を集めているサウス・ロンドンのジャズ・シーン。その中で、独自のスタンスと柔軟な好奇心から時にアウトサイダー的な立ち位置で語られるマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサー/ヴォーカリスト/DJ、エマ・ジーン・サックレイ。自身のレーベルから2016年にリリースしたEP『WALRUS』、そして2021年にリリースした『YELLOW』で70年代Pファンクやスピリチュアルジャズ/フュージョンの世界観をディープハウスへクロスオーバーさせたサウンドで注目を集めた彼女が、UKアシッド・ジャズの最重要人物の一人でもあるDJ、ジャイルズ・ピーターソンのレーベル、Bronswood Recordings / Parlophone Recordsからの第1弾となるニュー・アルバムをリリースする。
前作から約3年振りとなるスタジオ・アルバム『WEIRDO』。これまで同様、エマ・ジーンが自身のサウス・ロンドンにあるフラットで全曲作詞作曲及びアレンジを手掛け、全ての楽器を演奏し、さらにレコーディングにミックス・エンジニア、そしてプロデューサーまでも務めたこの最新作は、グランジにポップ、ソウルからPファンク、ジャズなど、様々なジャンルの影響をミックスしながら、彼女のの並外れた音楽性と大胆不敵な自己表現の証でもある。
元はニューロダイバーシティとメンタルヘルスに関する熟考として構想された『WEIRDO』は、2023年1月、エマ・ジーンが長年のパートナーを亡くすという予期せぬ事態を経て、深く個人的でありながら普遍的なアルバムに仕上がった。複雑な音楽的構成に生々しい感情、揺るぎなき本物感を備えた『WEIRDO』は、単なるアルバムではない。これは精神的回復力の傑作であり、個性への賛美であり、現代UK音楽シーンの最先端に立つアーティストの大胆な飛躍を昇華させた作品なのだ。
「当初、このアルバムは私自身の精神的な問題を処理し、受け入れるための手段でした。その後、それは悲嘆の日記となり、必然的に私のセラピーとなった。いろんな意味で『WEIRDO』の制作は私の人生を救ってくれた。この音楽が、同じような経験をしている人たちの心に響くようなものになればいいと思っている」
アルバムについてエマ・ジーンはそう語っている。(1/2)
発売・販売元 提供資料(2025/02/07)
実際本作には驚異的なスキルと気迫で作られ、演奏、そしてアレンジされた、人間が持つ感情と経験から作り出される巨大なスペクトラムを表現する傑作が満載されている。例えば「Maybe Nowhere」は激しくスウィングしながら、ギターの波が殺伐とした二連符を刻み続けるナンバーであり、対照的に「Save Me」は見事なまでにキャッチ―で思わず一緒に歌わずにはいられない1曲だ。そして「Thank You For The Day」は、人生の残骸から生まれた象徴的なアンセムだ。さらにアルバムには、エマ・ジーンが寸劇というより日記のようだと語る、超キャッチーな「Fried Rice」のような短い曲が随所に散りばめられており、ここにも彼女の個性が強く光っている。
この他『WEIRDO』には、注目すべきコラボレーションも収録されている。その一つはアメリカのコメディアン、ミュージシャン、ビートボクサー、俳優でもあるレジー・ワッツをフィーチャーした極上のPファンク・ナンバー「Black Hole」、そしてもう1つがシアトル出身のドラマーでバンドリーダーのカッサ・オーバーオールが天才的な輝きを放つ「It's Okay」である。またアルバムからのシングルとなる「Wanna Die 」は、熱狂的なエネルギーと感情的な傷つきやすさが見事に融合した曲だ。散漫なアップテンポのビートを刻むこの曲ではリズミカルで遊び心のある土台と、死と回復力についての痛切な考察が並置されている。エマ・ジーンが綴る歌詞は、絶望と決意の瞬間を行き来しながら、重いテーマと格闘し、その結果、人生のはかなさを大胆に探求しながら残酷なまでの率直さで表現し、混沌とカタルシスを同時に感じさせるパーカッシブなサウンドスケープを作り上げている。また同曲のミュージック・ビデオは、エマ・ジーンが自らが脚本を書き、ニック・スチャックと共同監督したもので、1970年代のテレビ・パフォーマンスへのシュールなオマージュとなっている。ジャイルズ・ピーターソンがカリスマ的な司会者としてカメオ出演しているこのビデオでは、エマ・ジーンがすべてのバンド・メンバーの役を演じ、フル・バンドを画面上でシームレスに体現している。レトロな美学と遊び心にあふれたこのビジュアルは、曲の活気あるエネルギーと内省的な深みを映し出していると言えるだろう。
ジャンルと感情の境界線を曖昧にするエマ・ジーン・サックレイの最新作『WEIRDO』。これは完全にユニークなアーティストによって作られた、一世代に一度しか現れないようなアルバムだ。(2/2)
発売・販売元 提供資料(2025/02/07)
UKのマルチ奏者による2作目。すべて彼女自身の手による生演奏とトラックメイクの多重録音で構築され、ジャズを基調にファンク、アフロビート、ブロークンビーツなどを織り込んだ高い折衷性と、濃密なグルーヴを兼ね備えている。パーソナルな心情を綴った歌声が夜の静けさに映えそうな、シンガー・ソングライター作品の風情もある。カッサ・オーヴァーオールらも客演。
bounce (C)鬼頭隆生
タワーレコード(vol.497(2025年4月25日発行号)掲載)
マルチ・インスト奏者/プロデューサー/ヴォーカリスト/DJ:エマ・ジーン・サックレイの2025年作。70年代Pファンクやスピリチュアルジャズ/フュージョンの世界観をディープハウスへクロスオーバーさせたサウンドで注目を集めた彼女の、UKアシッド・ジャズの最重要人物の一人でもあるDJ:ジャイルズ・ピーターソンのレーベル"Bronswood Recordings / Parlophone Records"移籍第1弾。全曲作詞作曲及びアレンジを自身で手掛け、全ての楽器を演奏し、さらに録音/ミックス/エンジニア/プロデューサーも務めた。数多き肩書きのレジー・ワッツ、ドラマー/バンドリーダー:鬼才カッサ・オーバーオール参加。ええやんええやん。
intoxicate (C)黒田"ハイプ"朋規
タワーレコード(vol.175(2025年4月20日発行号)掲載)