All The Quiet (Part II)

エズラ・コレクティヴのジョー・アーモン・ジョーンズが2部構成大作アルバム『All The Quiet』をリリース!!

エズラ・コレクティヴのメンバーで、ロンドンを拠点に活動するキーボードプレイヤー/作曲家/バンドリーダー/プロデューサーのジョー・アーモン・ジョーンズが、前作から6年ぶりとなるアルバムを自身のレーベル〈Aquarii〉よりリリース。本作は、『All The Quiet (Part I)』と『All The Quiet (Part II)』の2部構成の大作となっている。

『All The Quiet』は、ジャズや音響の本質を理解し、センス溢れるピアノ演奏で多くを魅了するジョー・アーモン・ジョーンズの新たな芸術的到達点を示すものであり、アシェバー、グリーンティー・ペン、ウー・ルー、ヤスミン・レイシーといったアーティストも参加していながら、ジョーがすべての作曲、プロデュース、ミックスを手がけ、ピアニスト、ソングライターとしての本領を発揮している。
2019年のソロアルバム『Turn To Clear View』以来、ジョー・アーモン・ジョーンズは現在隆盛を極めるUKジャズ・シーンの中心で精力的に活動してきた。 世界中をツアーし、自身のスタジオを設立、UKジャズ・シーンの様々なプロジェクトに貢献し、マックスウェル・オーウィン、ハク・ベイカー、ダブステップのパイオニアであるマーラとのコラボレーションも行っている。

『All The Quiet』の起源は、ロックダウンの時期にある。創造的な刺激を求めていたジョー・アーモン・ジョーンズは、キング・タビーの革新的なプロダクションや、生のダブ・サウンドシステムを直接体感したときの感覚にインスパイアされ、ミキシングデスクの使い方を独学で習得。やがて自宅にリール・トゥ・リールのテープマシンやスプリングリバーブを備えたスタジオを構築し、自身のソロやアンサンブルの録音を使ってミキシングを実験し、その成果を友人たちのサウス・ロンドンにあるサウンドシステムUnit 137で試聴するようになった。この手法はジャズの即興演奏と大して違わないと彼は語り、「ダブのサウンド世界を探求することに夢中になったんだ。そのプロセスをジャズやファンク、そして自分が愛するあらゆる音楽に応用していった」とコメントしている。 (1/2)

本作のレコーディングは、Livingstone StudiosとPress Playで4日間集中的に行われた。ドラマーのナシェット・ワキリ(Natcyet Wakili)、ベーシストのムタレ・チャシ (Mutale Chashi)、パーカッショニストのクウェイク・バス (Kwake Bass)、そしてホーンセクションとしてヌバイア・ガルシア (Nubya Garcia)、エズラ・コレクティヴの盟友、ジェームス・ モリソン (James Mollison)とイフェ・オグンジョビ (Ife Ogunjobi) といった精鋭ミュージシャンたちと共に演奏を重ねた。それらのセッションをテープに収めた後、彼は徹底した編集とプロダクションの工程に入る。自身のボーカルやシンセを加え、ベースやドラムにはダブ・ディレイやエコーのニュアンスを織り交ぜることによって、緻密な音のテクスチャーを作り上げながら、即興の自由さを内包したサウンドを生み出した。

アルバムの形が見えてくると、ジョー・アーモン・ジョーンズは次第にアルバムのテーマを意識するようになった。彼がたどり着いたのは、創造の精神に対する無関心と敵意がはびこる時代の中で、音楽の魂を守る音の騎士が戦うという幻想的な物語。 一見すると空想的かもしれないが、ここには音楽が商品化され、価値を失いつつある現状への深刻な問題意識が込められている。ジョー・アーモン・ジョーンズは「今、僕たちが目の当たりにしている状況の究極の終着点のようなものだ」とコメントしている。 この物語を表現するため、彼の長年のビジュアルコラボレーターであるディヴィヤ・シャーロー (Divya Scialo)とラルフ・ベリーマン (Ralph Berryman)が『All The Quiet』のデラックスLPに付属するアートワークとコミックブックを手がけている。

『All The Quiet』全体を通して、自由、コミュニティ、抵抗というテーマが貫かれている。先行シングル「Kingfisher」では、ウェスト・ロンドンのダブ・ポエット、アシェバーがコミュニティ、祝祭、革命について甘美に歌い上げる。そして、ヤズミン・レイシーがフィーチャーされた、クールな確信に満ちた「One Way Traffic」は、ダブ・リコンストラクションの最終章として『All The Quiet Part II』の幕を閉じる。 しかし、これは間違いなくジョー・アーモン・ジョーンズの作品だ。音楽の人を動かす力を持つことを深く表現すると同時に、それを守るべきものだという強い意志を示した、力強い声明である。 (2/2)

In March 2025, keyboardist/composer/producer/bandleader Joe Armon-Jones released All the Quiet, Pt. 1. Three months later, the second part emerges. This outing includes many of the same musicians and singers from the first album including Greentea Peng, Wu-Lu, Yazmin Lacey, Hak Baker, Nubya Garcia, Oscar Jerome, James Mollison, and others. Its probably worth remembering that this two-part project marked Armon-Jones first solo recordings in six years -- his other work includes leading Ezra Collective, and doing session work as an instrumentalist and producer. While these volumes are of a piece conceptually, they differ in feel, texture, and genres. Opener "Acknowledgement Is Key," with Baker on vocals, commences as a dubwise groover before a moody, funky tom-tom and snare trip-hop backbeat introduce the chord progression and transform it into elegant contemporary jazz with lithe flute, trumpet, and Wurlitzer. Baker doesnt enter until nearly five minutes in as the instruments blur into one another. His spoken word and singing are poignant reflections on personal and cultural development. While the instrumental "Lavender" crosses laid-back contemporary jazz and electronics, its beats, both synthetic and organic, careen into junglism. Ashebers classy spiritual soul vocals carry "Westmoreland" in the terrain pioneered by Norman Connors atop a hypnotic bassline, layered, airy synths, and trap kit. "Paladin of Sound & Circumstance" weds laid-back beat science with a jazzy Rhodes piano, skittering syncopated snare, and a subdued yet pulsing bassline. Vocalist Greentea Peng and rapper Wu-Lu are up front with layered reverb on the gorgeous single "Another Place," while an interlaced percussion and keyboard tapestry frame the rap as Peng airily interjects between his verses. "War Transmission" is a class in contemporary jazz-funk with buoyant horns, swirling pianos, drop-dead syncopation, and production that combines the styles of Creed Taylor and Jon Hassell. While "505 Standby" is a short, loose meld of jazz improv and hypnotic ambient electronics before "Journey South" opens onto a vista of instrumental movement with cascading brass and reeds, pulsing, carnivalesque piano complete with seamless arpeggios, and a questing tenor sax solo. Lacey is the featured singer on closer "One Way Traffic." Its circular bass line sits atop the snare-hi-hat rhythm and syncopated breaks. Armon-Jones lays in chords, accents, and an instrumental flow that carries Laceys vocal above it all; the bandleader calls it one of his favorite tracks. If there is a cut that deserves a remix, this is it. The packaging includes a 24-page story book illustrated by Ralph Berryman and an original story by Armon-Jones. Like its predecessor, All the Quiet, Pt. 2 is a self-contained musical universe that feels, despite the abundance of sonic technology, like a blissed-out, elegant, edifying, and organic-sounding whole. ~ Thom Jurek

エズラ・コレクティヴの〈フジロック〉出演も決まったタイミングで、ソロ連作のパート2がリリース。ジャズでダブをやる作法で取り組んだパート1の成果もそのままに、自身の鍵盤とタイトなリズム勢で作り上げた雄大なグルーヴが実に気持ちいい。グリーンティーペン&ウー・ルー、ヤズミン・レイシーなど多様な声の起用もスピリチュアルな気分を確実に演出している。
bounce (C)大原かおり