ウィルコのメンバーとしても長年活躍しているギタリスト/作曲家のネルス・クラインによるブルーノート最新カルテット作品。
2011年にはローリング・ストーン誌で「史上最も偉大なギタリスト」の82位にも選出されたネルス・クライン。本作は、サックス奏者のイングリッド・ラウブロック、ベーシストのクリス・ライトキャップ、そしてドラマーのトム・レイニーからなる新しいバンドをフィーチャーしたデビュー作となる。作曲と即興をシームレスに融合させ、スウィングとアヴァンギャルドのバランスを巧みにとっているサウンドは演奏家としても作曲家としても多才なクラインの真骨頂とも言えるもので、「これまでの作品よりもジャズ・グループに近い」と自らが振り返る意欲作となっている。
今から6年ほど前に、ジョン・ゾーンが運営するライヴ・スペース、ザ・ストーンで行われたフリー・インプロヴィゼーションのためにメンバーが集まったことがきっかけとなったという本作。その後すぐにコロナ禍となり、クラインは本作の半分をロックダウン中に書いたという。本作について、彼は「最初はもっと保守的なアプローチ、つまりもう少し伝統的なアプローチを模索していたんだ。でも時間が経つにつれて、ループしたり、よりファンキーなグルーヴの曲を書いたりするようになった。このバンドは、エフェクトをほとんど使わずに、すべてをシンプルにしようと試みたところから始まった。でもオーヴァードライヴされたギターの音は、テナーサックスの音とぴったり合うと次第に気づいていったんだ」と語っている。
また、今回のメンバーについては、「バンドには地球上で最も優れたドラマーの1人、トム・レイニーがいる。(ライトキャップは)本物のベースを弾き、彼にはしっかりした支えになるものがあり、それは深い感覚だ。(ラウブロックは)不可解なコードチェンジを巧みにこなしていて、素晴らしい技量とある種の親密さが組み合わさった素晴らしい演奏だ。彼女の演奏を聴くと、いつも圧倒される。まるでこの作品は彼女のレコードのように聞こえるよ」とコメントしている。
<パーソネル>Nels Cline (g, effects) イングリッド・ラウブロック(sax)、クリス・ライトキャップ(b, effects)、トム・レイニー(ds)
発売・販売元 提供資料(2025/01/20)
来日公演からはや1年、次に来てくれるのはいつだろう...そんなファンにも聴いていただきたい、WILCOに加入して20年を迎えたギター魔人ネルス・クラインの新作。巨匠ドラマー、トム・レイニーとサックス奏者イングリッド・ラウブロックというアヴァンギャルドなシーンにおける最強コンビにベーシストのクリス・ライトキャップという絶大な信頼を寄せるメンバーを集めて新たに結成されたカルテットでおくる1枚。時に美しく、時に鋭利に奏でられるギター・サウンドはもちろんメンバーそれぞれが魅力を全開にして奏でられる最高のジャズ・アルバム。今作も名門ブルーノートからのリリースです。
intoxicate (C)谷本真悟
タワーレコード(vol.175(2025年4月20日発行号)掲載)