英国プログレッシヴ・ロック界の重鎮ジェスロ・タルの新作スタジオ・アルバム『Curious Ruminant』(キュリアス・ルミナント)(2CD+Blu-ray)
英国プログレッシヴ・ロック界の重鎮ジェスロ・タルの24作目となるスタジオ・アルバム『Curious Ruminant』(キュリアス・ルミナント)
2022年『ザ・ゼロット・ジーン』、2023年『ロックフルーテ』と立て続けに新作をリリースしたジェスロ・タルが1年11ヵ月という短いインターバルで早くも新作を完成させた。2分半から17分近くまでと長さの多彩な9曲からなる本作は、大部分をフル・バンド・ミュージックが占めるアルバムになっている。現バンド・メンバーのデイヴィッド・グーディア、ジョン・オハラ、スコット・ハモンド、そして初めて彼らとのレコーディング・デビューを果たすギタリスト、ジャック・クラークとともに、元メンバーのキーボード奏者アンドリュー・ギディングスと、ドラマーのジェームズ・ダンカンといったミュージシャンも参加している。
イアン・アンダーソンは『ロックフルーテ』のリリース後何ヶ月もの間、2023年後半には新しいプロジェクトに着手すると言っており、当初の思いつきが意図のある草稿へと固まり始めるまでにはほんの2、3週間しかかからなかった。そして2024年5月、ジョン・オハラ、デイヴィッド・グーディア、ジェームズ・ダンカンと以前レコーディングしてあった未完成の音源が、新曲が形成されていく上でのスタート地点となった。彼が6月に本腰を入れ始めると、新たに書かれた素材の歌詞やメロディがあっという間に仕上がり、序盤の録音の音楽的な感覚やスタイルにもしっくりとはまっていった。特徴的なフルート・ソロやメロディの他にはアコーディオン、マンドリン、アコースティック・ギター、テナー・ギターも登場しており、アコースティック&フォーク・ロックのさりげない背景が70年代のタルの伝統を彷彿させる内容になっている。
このデラックス版には、アートブック 、2枚組CD(CD2:オルタナティヴ・ステレオ・ミックス)、ブルーレイ(ドルビーアトモス&5.1サラウンド・サウンド + インタビュー )が収められる。
■ラインナップ
Ian Anderson イアン・アンダーソン [フルート、ヴォーカル、アコースティック・ギター、テナー・ギター、マンドリン、オッズ&ソッズ、ビッツ&ボブズ]
David Goodier デイヴィッド・グーディア [ベース]
John O'Hara ジョン・オハラ [ピアノ、キーボード、アコーディオン]
Scott Hammond スコット・ハモンド [ドラムス]
Jack Clark ジャック・クラーク [エレクトリック・ギター]
※また、本作には以下の元メンバーも参加している。
James Duncan ジェームズ・ダンカン [ドラムス、カホン、パーカッション]
Andrew Giddings アンドリュー・ギディングス [ピアノ、キーボード、アコーディオン]
発売・販売元 提供資料(2025/01/10)
デビュー57年目を迎えた大御所バンドが前作からわずか2年でリリースする24作目。新たに加わったジャック・クラーク(94年生まれ!)のメタリックなギターがトラッド・フォークとプログレ・ハードの折衷という唯一無二のジェスロ・タル・サウンドをさらに磨き上げている。イアン・アンダーソンのフルートも大活躍。16分超えのインストは、そんな彼らの真骨頂だ。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.495(2025年2月25日発行号)掲載)