デヴィッド・アクセルロッド、H.B.バーナム、レッキング・クルーがバックアップしたウェストコースト・ガールポップの秘宝!
ディック・クラークは、66年~67年にわたって、『アメリカン・バンドスタンド』のスピンオフ番組である『ホウェア・ジ・アクション・イズ』(アメリカで平日午後放送)のプロデュースと一部ナレーションも担当した。司会はリンダ・スコットとスティーヴ・アライモの歌手2人で、他にレギュラー・メンバーがいた。そのひとりがティナ・メイソンである。
南カリフォルニア育ちのティナは、小さい頃から音楽好きの両親とよく一緒に歌っていた。10代半ばで注目を集め、ビッグ・バンドのヴォーカリストとなり、ハリウッド・ボウルのコンテストで優勝した経験もある。やがて、ディズニーランドのハウスバンドをこなすようになった。バンドは、当初ケイ・ベル&ザ・スペースメンという名称だったが、やがて、ティナ&ザ・ムスタングスに変わった。キャピトル・レコードの若きプロデューサー、デヴィッド・アクセルロッドが演奏を聴きスカウトして、レコード・デビューにつながった。今回ボーナス・トラックとして、66年キャピトル・レコードからリリースされたティナ&ザ・ムスタングス名義のシングル盤、表裏2曲を収録している。
本アルバム『Is Something Wonderful!』もキャピトル・レコード発で67年の作品となる。プロデューサーは、やはりデヴィッド・アクセルロッドだ。彼は、ロック、ジャズ、R&Bなど広範囲にわたる音楽センスを誇っていた。ティナの甘めの声を生かした王道ポップスから、ジャズ由来のしとやかさを表に出した曲、さらにはビートを生かしたノーザン・ソウル系と、多彩な音楽性をはらんだアルバムに仕上がったのは、彼の功績が大きい。もちろん、曲調に沿った歌い口を披露するティナの表現力があってのことだ。
アレンジャーは、アクセルロッドと何度も仕事をしているH.B.バーナムが務めた。そして演奏陣も素晴らしい。"バック・ビート"の生みの親、アール・パーマーをはじめとする、ロスアンジェルスを拠点とする職人集団"レッキング・クルー"のメンバーが中核を成している。他には、ヘレン・ヒュームズとの共演が多く、マリリン・モンローのヴォーカル・トレーナーでもあったジャズ・ピアニスト、ジェラルド・ウィギンズがピアノとオルガンを担当している。
ボーナス・トラックにはアルバム未収録シングル曲4曲を追加収録。
解説:上城仁志
発売・販売元 提供資料(2024/12/20)