ソロマイカーとして4年ぶり8枚目のアルバムをリリースする DEJI、アルバム・タイトルの『運命の輪 ~Wheels Of Fortune ~』は、大きな車輪が回るように逆らうことのできない宿命の中、一石を投じる DEJI の矜持を示す。"中堅~ベテランが RAP を続けているだけで凄い"そんな御託は聞き飽きた。"聴き手に刺さる良質なHIPHOP であるか?"そこに拘った DEJI 渾身の 8thアルバム! (C)RS
JMD(2024/12/21)
ソロマイカーとして4年ぶり8枚目のアルバムをリリースするDEJI、アルバム・タイトルの『運命の輪 ~ Wheels Of Fortune ~』は、大きな車輪が回るように逆らうことのできない宿命の中、一石を投じるDEJIの矜持を示す。
「中堅~ベテランがRAPを続けているだけで凄い」そんな御託は聞き飽きた。
「聴き手に刺さる良質なHIPHOP であるか?」そこに拘ったDEJI 渾身の8thアルバム「運命の輪 ~ Wheels Of Fortune ~」リリース!
2006年に1stアルバム「SENBE-BUTON」を発売して以来、ソロマイカーとしてコンスタントにリリース/客演を重ね、
また数多くのイベントでのライブを続けるなど現場レベルで活躍を続けているDEJIが、ソロ作としては8枚目となるアルバム「運命の輪 ~Wheels Of Fortune~」をドロップ!
RAPPERとして活動する上での根源的な魂、意志を具現化した7thアルバム「GHOST」から約4年、コロナ禍を経て、多摩立川で邂逅した豪傑たまちゃん、タマイコウスケとのユニット「A Gang Of Wanderers」での活動を経て、RAPPERとしてのあるべき姿を自問自答し続ける男の言葉が再びここに綴られた。
約25年ものキャリアに裏付けられたオーソドックスな押韻、ストーリーテラーぶりは健在で、ユーモアを交えた独特の言葉選びは、聞き手の脳裏を揺さぶる上司との1on1ミーティングのよう。
奇抜なスタイルではないが、変化の激しい2020年代のHIPHOPシーンにあって、「取調中に出てくるカツ丼」のような、本当に実在するのか?実在しないのか?
所説ある絶滅危惧種のようなライム、フローの風味は、どこか懐かしい母親の味噌汁の味のよう。
未曽有のフリースタイルブームが巻き起こり、日本全国からラップスターが誕生する中、ブラウン管からラップ調の節回しが聴こえない日は無い昨今、2000年代初頭から日本のアンダーグラウンドHIPHOPシーンでサバイブし、平日は毎朝5時起きで始発電車に飛び乗り、家族を食べさせる男は微笑ましくシーンを眺めるだけでは飽き足りず、一石を投じる決意の上で8枚目となるソロアルバムと向き合った。
10代にマイクを握り始めた若者も時を経て40代になり、家庭を持ち、父になり、自分だけの思いで金銭、時間を使うのは難しくなる。
そんな中にあって「マイクを握り続けているだけで凄い」「リリースするだけで凄い」中堅~ベテランに対する、およそ褒め言葉とは言えないありきたりな賛辞は要らない。
あくまで良質なHIPHOPとして聞き手に刺さるものか?その点に拘ったDEJIの矜持を味わって欲しい。 (1/3)
発売・販売元 提供資料(2024/12/16)
客演には、DEJIの小学校、高校の佐賀時代からの同級生であり、東京での活動初期にカリオストロ「Kalliostro」の2MCとして共に東京アンダーグラウンドシーンをサバイブしたEGU。現在RAPPERとしての活動は一線を退くも、DEJIの熱いオファーを受けて、今作唯一のRAP客演として参加。当時活躍が望まれたユニットであることが有り有りと伝わるスキルを見せつける。
ラップの土台となるプロデュース陣も多士済々。
・長野県松本に君臨し、ヒップホップを体現する男、MASS-HOLEは今作の大トリである「大河の一滴」をプロデュース。RAPPERとして、プロデューサーとして、シーンを牽引する男が彩る重厚なビートは、壮大な旋律と共に今作を締め括る。2021年にリリースされた氏のソロアルバム「ze belle」の衝撃は今も記憶に新しい。
・プロデューサーとしてソロアルバム「SOPHIC2 Deluxe Edition」をリリースしたDJ KRUTCHは前作から引き続き参加。今作でもアルバムのメイン楽曲「この真っ白い山に」を担当。「ひとつひとつ Pt.2 feat.LIBRO,DAG FORCE,鎮座 DOPENESS,句潤」他、プロデューサーとしてスマッシュヒットを量産する信州信濃の名手から目が離せない。KEN THE 390、SONOMI等、数々の有名アーティストのバックDJも担当。
・数々のアーティストと共作して7inchシングルをリリースし、1stアルバム「和魂洋才」をリリースした当代きっての多作家にっちょめ。DEJIソロ作としては初の邂逅。「A Gang of Wanderers」での楽曲提供から今作でのコラボレーションに至る。股旅として、全国各地を飛び回る男のセンス、重厚且つアッパーなビートセンスが光る。
・岩手県一関を拠点に活動する実力者Ma'Koは、DEJIの6thアルバム「草莽の人」の「旅」、7thアルバムから「GHOST」「燻し銀」のプロデュースを経て、今作も2曲の楽曲を提供。みちのくで腕を磨くBoom Bapの体現者は今作でも存在感を示す。HIPHOPにおけるUNSIGNED HYPEという言葉が当てはまる名手の実力を堪能してほしい。
・エンジニアとして名を馳せる57Moveは、7thアルバムのスマッシュヒット曲「何気ない日々」に続き、今作もプロデューサーとして2曲の楽曲を提供。数々のスタジオワークで身に着けたディレクションでアルバム中盤の盛り上がり所を担う。今作ではSpecial Sound Advisorとしてミックス、マスタリングをトータルで支援し、アルバム全体を総監修した。 (2/3)
発売・販売元 提供資料(2024/12/16)
・2003年発売の「カリオストロEP」のほぼ全楽曲をプロデュースしたSIRCHINは、これまでもDEJIの数々の楽曲をプロデュースし、今作もタイトル曲「運命の輪」を担当。現在も山口県を拠点にグルーブと向き合い続ける求道者が、再び指揮を執る。DEJIと20年以上の付き合いを経て、グルーブのマエストロSIRCHINは益々円熟味を増す。
・「Ego Da Templateという名のやばいプロデューサーが居る。」盟友INNTANAからの情報を受け、Andersenのアルバム「everywhere, nowhere」での数々の名曲を聴き、DEJIから熱烈オファーを経て、今作での楽曲提供が実現。「良質なHIPHOPから逸脱しない絶妙なバランス感覚でのキャッチーなメロディセンス」Ego Da Templateの特徴的なスキルが今作でも炸裂。Ego Da Templateが担う終盤のハイライトを聞き逃さぬよう。
そして、稲穂pt.3でのスクラッチはEGUと共に2MC1DJのユニット「カリオストロ(Kalliostro)」でDJを務めたDJ H!ROKi。DEJI 4th アルバムの自問自答ではトータルプロデューサーも務めた氏は、現在より一層DJとしての活動の幅を広げ、都内近郊で多数のイベントに出演し、グルーブ感溢れるプレイでフロアを温める。メモリアルな楽曲である稲穂pt.3で3人が時を経て邂逅したことは今作のハイライト。
そして、57Moveがプロデュースを務める2曲ではスクラッチでDJ 1anが参加。ソウルミュージック研究会GALAXYではDEJIの同期として、長らくストリートでのDJプレイを続け、BEER STOR等複数のMIX CDをリリース。曲を彩るスクラッチの魅力は、ストリートで培ったもの。卓越したスキルを遺憾なく発揮し同期のアルバムに華を添える。
アートワークを手掛けるISAMIはDEJIの1st ALBUM SENBE-BUTONを聴いたことをきっかけにDEJIと邂逅。4thアルバム「自問自答」以降のアートワークを全て手掛け、アルバムの顔を彩る。デザイナーとして、1人間同士として、1表現者同士として、長らく作品を共にしてきたISAMIのアートワークがDEJIの精神性を具現化し、各地各所のソルジャーたちの心に火を点ける。 (3/3)
発売・販売元 提供資料(2024/12/16)
ユニットの動きを挿んだ4年ぶりの8作目。運命と見定めた音楽に翻弄されてもいまなおほぼ我が身一つで全編に向かう姿は、踏まれても立ち上がる雑草ばりにしたたか。カリオストロで初期は活動を共にしたEGU、DJ H!ROKIとの"稲穂pt.3"からMASS-HOLEのぶっとい音に矜持と反骨を宿すラップがアツい"大河の一滴"まで、独特な言葉のチョイスもらしさ全開。
bounce (C)一ノ木裕之
タワーレコード(vol.495(2025年2月25日発行号)掲載)