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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2019年06月25日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | ふげん社 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784908955068 |
| ページ数 | 66 |
| 判型 | B4 |
構成数 : 1枚
佐藤信太郎は、1969年生まれの写真家で、東京の街をテーマに制作を続けています。90年代後半に繁華街を撮影したシリーズ「夜光」、非常階段という独自の視点から東京の夕景を撮影したシリーズ「非常階段東京」、そして東京スカイツリーの建設によって変わりゆく街の風景を捉えた「東京|天空樹 Risen in the East」などの作品で知られています。佐藤は、変わり続ける都市の表層を写しながらも、街そのもの骨格や根底に流れるダイナミズムを浮き彫りにするという一貫したテーマで制作し続けています。高度なデジタル技術で複数の画像をつなぎ合わせ、隅々までピントが合った佐藤の作品は、奥行きのない平面的な印象を受け、現代の浮世絵とも称されます。
「Geography」は、1992年の冬に東京湾岸の埋め立て地の地面を8×10の大型カメラで撮影したシリーズです。
平面を平面のまま撮るというシンプルな手法で撮影された本作は、佐藤の原点ともいえるでしょう。距離感がつかめずミクロにもマクロにも見える可変的なイメージは、都市の深層に潜む静かな時間の流れや、東京の都市形成に大きく作用している地形の存在を感じさせます。
収録テキストは写真評論家の飯沢耕太郎さん、造本設計は町口覚さんです。
オリンピックが翌年に迫り、世界的な注目が集まる東京。技術の進歩によってグローバル化とヴァーチャル化が進む中、足元にある地面を意識して歩くことがどれほどあるでしょうか。東京という大都市の質量を体感していただければ幸いです。
「この写真を見ていると作者でも距離感がよくわからなくなる。都市の下にある地面がそのまま、都市を上から見た衛星写真のようなイメージに変わる。埋立地の地面がどこかの惑星の表面のようにも見えてくる。遠近法を否定した、ただの平面が様々な距離やイメージの揺らぎを生み出している。
その後、主に東京をテーマに都市風景を撮影し続けているが、一見何の関係もないこの作品は、都市の底にある地形に対する関心、密度や細部に対するこだわりなど、現在の自分の作品にどこか繋がっているように感じている。」
佐藤信太郎
(収録テキストより抜粋)
「佐藤はなぜこのような写真を撮り始めたのだろうか。それはその時点で、都市風景、とりわけ東京の風景こそが、その後の彼の最も重要な写真撮影の営みになっていくという予感があったからだろう。佐藤はこの「Geography」のシリーズで、写真家としてのスタートラインを引き直しているように見える。結果として、彼は常に変容し、捉えがたく、定まった形を持たない東京のあらゆる要素がそこから伸び広がっていく、「風景の零度」とでもいうべき眺めを手に入れることができた。カメラを手に東京を巡り歩く彼の長い旅は、まさにその出発点となる、足元の「地面」を見つめ直すことから始まったのだ。」
飯沢耕太郎
(収録テキストより抜粋)

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