アイスランドが生んだコンテンポラリー・メタルバンド=MUR(ムール) 既成の枠を超えたエモーショナルで強烈な7編を収めたデビュー・アルバム『MUR』
ポスト・ロック、シューゲーザー、ブラックメタル、プログレッシヴ・メタルなどの要素を飲み込み昇華させたユニークなサウンドで人々を魅了するアイスランド、レイキャビクが生んだコンテンポラリー・メタルバンド=MUR(ムール)。アイスランド語で"レンガの壁"という意味を持つ新たな才能は、不穏に舞い上がりながら空間を覆い尽くしていくギターとキーターの轟音、無慈悲に刻みこまれる容赦ないリズム、そして我々の心の深部にまで浸透していくヴォーカルが渾然一体となり、生々しい感情と未知なる音の壁を作り出す。
2021年夏に結成されたMURは、タイトなライヴ・パフォーマンスが話題を呼び、アイスランドのアンダーグラウンド・シーンで日を追うごとにその名を知らしめていく。その才能は結成から1年足らずで早くも花を咲かせることとなる。2022年春のアイスランド・ヴァッケン・メタル・バトルで優勝、ドイツのヴァッケン・オープン・エアーで開催された決勝で4位に入賞したことをきっかけに、母国アイスランドのみならずヨーロッパで注目を集めたのだ。それから2年の月日が流れ、バンドはセルフタイトルのデビュー・アルバム『MUR』をリリースする。半数以上の楽曲が9分を超える長尺であることから分かるように、じっくりと時間をかけて、予測不能のバウンスを伴いながら暗黒のグルーヴと巨大なエネルギーが創造されていく。そして、我々はMURの世界に引きずり込まれるのだ。10月に公開された(3)「Frelsari」のビジュアライザーMVは、Ka'ri Haraldssonが10代の頃に制作したアニメーションと、その数年後に書かれた楽曲がうまく調和している。また今作で最長11分の(6)「Heimsslit」は今作の中でも最も熱量を感じる大作だ。
バンドは今作リリース後、UKを皮切りにヨーロッパを周るツアーを行う。ヴァッケンを勝ち抜いたガッツ溢れるMURのパフォーマンスはすでに耳の早いメタルファンから期待されている。ステージ上ではドラマーを除いて、キーターを手に歌うKa'riをはじめとする4人が横一列に並ぶフォーメーションから繰り出す音塊は圧巻だ。コンテンポラリー・メタルと評されるMURの幽玄の世界が各地で賞賛される日はそう遠くないだろう。
発売・販売元 提供資料(2024/11/08)
アイスランド発の5人組バンドによるデビュー作は、全7曲中4曲が10分前後という大作がずらりと並ぶ。〈メタル版シガー・ロス〉と形容したくなるアトモフェリックなヘヴィーさがカッコイイ。シンセを効果的に用いて音の広がりを意識した手法もおもしろく、映像や景色が脳裏に浮かぶ物語性のある展開もポイント。トゥールやニューロシスなどが好きな人にもお薦めしたい。
bounce (C)荒金良介
タワーレコード(vol.493(2024年12月25日発行号)掲載)