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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2024年11月11日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 大阪大学出版会 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784872598070 |
| ページ数 | 426 |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚
序章 対象と課題
第一部 政党内閣期における自由通商運動と大阪財界
第一章 自由通商協会の発足と田中義一内閣――理念・組織と初期の活動
はじめに 対象と課題
第一節 自由通商協会の発足
第二節 自由通商運動と大阪
第三節 田中内閣と鉄・木材関税引き上げ反対運動
小括 まとめと考察
第二章 民政党内閣の成立と大阪財界――井上準之助蔵相と経済更新会
はじめに 対象と課題
第一節 田中内閣下の金解禁運動
第二節 井上蔵相と大阪財界:経済更新会の設立
第三節 関税審議会をめぐる攻防
第四節 経済更新会による選挙支援と金解禁支持再声明
小括 まとめと考察
第三章 産業合理化、製鉄合同・鉄鋼関税問題と大阪財界――井上準之助蔵相を焦点として
はじめに 対象と課題
第一節 産業合理化をめぐる対抗
第二節 製鉄合同・鉄鋼関税問題をめぐる対抗
第三節 民政党内閣の崩壊と関税問題
小括 まとめと考察
補論一 実業同志会と大阪財界――武藤山治と平生釟三郎の関係を中心に
はじめに 対象と課題
第一節 実業同志会の結成と大阪財界
第二節 第一五回選挙と議会対策をめぐって
第三節 「政実協定」とその波紋
第四節 民政党内閣への対応をめぐって
小括 まとめと考察
補論二 大阪帝国大学設立の政治過程――大阪財界と浜口雄幸内閣
はじめに 対象と課題
第一節 民政党内閣成立と帝国大学設置運動の開始
第二節 井上準之助蔵相へのアプローチと追加予算
第三節 難航する貴族院審議
第四節 文政審議会と異論の表出
小括 まとめと考察
第二部 「自由通商」と「大東亜共栄圏」への道――満州事変とその後
第四章 満洲事変と自由通商運動――「自由通商」と「領土拡張」
はじめに 対象と課題
第一節 柳条湖事件前後の状況認識:井上蔵相と平生らの観点を中心に
第二節 「領土拡張論」への転換:平生と自由通商の論理から
第三節 事変後における自由通商運動:逆風下の運動継続
小括 まとめと考察
第五章 自由通商運動と大東亜共栄圏への道――日中戦争以前と以後
はじめに 対象と課題
第一節 広田外交下の自由通商運動
第二節 準戦時体制と資源問題
第三節 東亜新秩序から大東亜共栄圏へ:日中戦争以後の変質
小括 まとめと考察
補論三 東方文化連盟――一九三〇年代大阪のアジア主義
はじめに 対象と課題
第一節 「東方文化連盟」の発足
第二節 日中戦争までの活動
第三節 日中戦争期の活動
小括 まとめと考察
第三部 自由通商運動の変貌と翼賛体制
第六章 栗本勇之助の「積極的全体主義」への軌跡――大阪財界の戦時体制化
はじめに 対象と課題
第一節 満洲事変前の活動
第二節 満洲事変後の活動
第三節 日中戦争期の活動
第四節 財界活動と近衛新体制
小括 まとめと考察
第七章 平生釟三郎と「新体制」――政・官・財の既成勢力を批判する財界人
はじめに 対象と課題
第一節 「新体制」への道
第二節 大日本産業報国会会長
第三節 経済新体制の推進
第四節 軍人宰相への期待
第五節 翼賛選挙への関与
小括 まとめと考察
終章 総括
あとがき
注
索引
国際協調とナショナリズムがせめぎ合う時代。国内外の政治経済に働きかけることで通商を促進しようとした「自由通商運動」と、それを率いた大阪財界の軌跡を追う。
1928年、国際連盟の掲げた目標の一つである通商自由主義を実現し、関税引き上げの動きを抑止することを主たる目的として自由通商協会が創設された。自由通商運動は古典経済学的アイデアを背景としつつも、戦間期の国際協調とナショナリズムがせめぎ合う国際政治経済状況、日本の人口増加、資源問題、社会問題などを前提としつつ国際的、国内的政治経済状況に働きかけて可能な限り関税低下などによって通商を促進しようと活動した。自由通商運動は、財界人や上田貞次郎のような学者など異分野の自由主義的改革に関心を持つ人々の緩やかな連合体であり、そのために水準の高い機関誌を発行すると同時に政治や関係省庁に働きかけて実際運動も行うことが可能になった。自由通商協会は各地に支部を持っていたが、特に平生釟三郎や村田省蔵などの財界人に率いられた大阪の活動が盛んであった。戦間期の大阪は、東京と比較しても政府の保護を受けることが比較的少ない多様な産業基盤を持つ先進都市で、その貿易都市としての性格が自由通商運動の支持基盤となったといえる。
昭和戦前期は、1920年代後半の政党内閣と協調外交の時代から、満洲事変以後における戦時体制化と対外膨張の時代への転換が生じた時期にあたる。自由通商運動はこの時期の中で大きく三期に分けることができる。第一期は満洲事変以前の政党内閣期である。特に民政党内閣期には井上準之助蔵相を通じて相当な影響力を発揮することができた。第二期は満洲事変から盧溝橋事件までである。満洲事変や経済摩擦の激化という悪化する状況において、その性格を変化させながらも自由通商運動は継続された。第三期は日中戦争以後である。この頃運動は本格的に変容し、最終的には「大東亜共栄圏」と同一化する道へ向かう。本書では、この時期区分に沿って自由通商運動と大阪財界、ならびにその指導的人物の軌跡を分析し、昭和戦前期の政治経済上の変動に与えた影響と意義を考察する。補論では大阪帝国大学の設立過程、および実業同志会や東方文化連盟と大阪財界の関係の推移に注目し、その動向を考察する。

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