ギターとコンピューターで無二のエレクトロニック・サウンドを創出するフェネス、約5年半ぶりのニュー・アルバム『モザイク』。おそろしいほど精緻に構築された音像が途方もなく美しい無比の傑作。日本独自LP化。 (C)RS
JMD(2024/10/25)
ギターとコンピューターで無二のエレクトロニック・サウンドを創出するフェネス、約5年半ぶりのニュー・アルバム『モザイク』。おそろしいほど精緻に構築された音像が途方もなく美しい無比の傑作。日本独自LP化。
これはフェネスのこれまででもっとも内省的なアルバムである。2023年末に作曲・録音され、2024年夏に完成した。フェネスはこの4年間で3つ目となる新しいスタジオ・スペースを開設した。さしあたっての構想はなく、今回は厳格な作業ルーティーンでゼロからスタートした。朝早く起きて正午まで作業をし、ひと休みしてまた夕方まで仕事をした。最初はアイデアを集め、実験し、即興で演奏するだけ。その後、作曲、ミキシング、修正。しかし、タイトルは早くから決まっていた。『モザイク』だ。それは、要素をひとつずつ配置して全体像を構築するという、ピクセルが一瞬でそれを行うようになる以前の、旧式の画像作成技術を反映したものだった。
『モザイク』は、その名前が示す通り、繊細かつ複雑なアルバムで、音の断片をつなぎ合わせて広大で没入感のあるものにしている。まるで忘れられた記憶を復元するかのように、あるいは、音のモニュメントを構築するかのように、フェネスは細心の注意を払い、ほとんど瞑想のようなプロセスでこの作品を一層一層、組み立てた。
『モザイク』は、多様な影響と、リスナーによって探求される複数の可能性を備えた、映画的で非常に魅力的で美しいスコアである。
『モザイク』でフェネスは、彼が単なるミュージシャンではなく、音の建築家であることをふたたび証明した。たとえ一瞬であっても、エーテルに溶け込む前に、われわれが生息するための世界を作り上げている。科学と夢が出会い、精密さと詩が出会い、音そのものがわれわれを再発見へと誘う古代の言語となるアルバムだ。まさに珠玉だ!
発売・販売元 提供資料(2024/10/24)
前作の時点で確立していた9時から17時の作業ルーティンのもと、タイトル通り音の素材を一つずつ配置して全体を形作っていくという、これまでとは異なる手法が試みられた、5年半ぶり8作目。6つのギター・リフをミックスして美しいノイズの塔を築き上げた"Goniorizon"など、ミュージシャンという枠を越えて〈音の建築家〉であることを証明しているようだ。
bounce (C)野村有正
タワーレコード(vol.493(2024年12月25日発行号)掲載)
タイトルは先に決まっていたというフェネスの5年半ぶりの新作『モザイク』。フラグメントとその集合体を示す言葉だが、アルバムのタイトルとしてだけでなく、収録された楽曲全体にそのイメージが踏襲されている。たくさんの細かな音が現れては交差し、ひとつの形をなしたと思えば大きなうねりとなって変化する、そんなアルバムだ。これまでのフェネスの音楽性はそのままに、ただこれまで以上に広大な空間が眼前に広がってくる。ジャケットのような渺茫とした、しかし音風景としてはやや荒涼としたトーンを帯びている。全7曲が全く違う音風景を見させてくれる秀作。
intoxicate (C)金子雄樹
タワーレコード(vol.173(2024年12月10日発行号)掲載)