ベン・フォールズのクリスマス・レコードが完成。オリジナルと再創造されたクラシックの折衷的なミックスで構成されたアルバム『スレイヤー』、リリース。
「クリスマスは不変だ。どう違うのか、自分は何者なのか、成長し変化したのか、すべてを理解することができる」とBen Foldsは言う。この考え方が、Foldsの新しいホリデー・コレクション、『Sleigher』の核心に存在する。オリジナルと再創造されたクラシックの折衷的なミックスで構成されたこのアルバムは、クリスマスというレンズを通して時の流れを検証し、記憶、喪失、憧れを振り返りながら、この季節が私たちの人生のチャプターを刻む様々な方法を探っている。ユーモアと陽気さにあふれた遊び心たっぷりの曲が収録されるが、同時に、12月下旬の夜の周辺にいつも漂っているような、逃れがたいメランコリー、迫りくる闇のような感覚も含まれている。一方、Foldsの演奏は、トラディショナルな枠を広げながらもスタンダードを取り入れ、時にはVince GuaraldiやBurt Bacharachのような閃光を放ちつつも、独自の特徴であるオフキルターなインディー・ポップに忠実である。その結果、Ben Foldsのクリスマス・レコードというよりは、クリスマスを舞台にしたBen Foldsのレコードとして、アルバムは仕上がった。これは、1年で最も素晴らしく、そして挑戦的なこの時期に観察される、どうしようもなく変わりゆく暦と変わりゆく自分自身についての瞑想である。
Ben Foldsは米ノースカロライナ出身のシンガーソングライター、ミュージシャン、コンポーザーだ。オルタナティヴ・ロック・バンド、Ben Folds Fiveのフロントマン/ピアニスト、ソロ活動で知られる。1994年、Ben Folds Fiveを結成し、1995年にアルバム『Ben Folds Five』でデビュー。日本、アメリカを中心に評判を呼ぶ。1997年にはセカンド・アルバム『Whatever and Ever Amen』をリリース。アルバムは全米でプラチナディスとなる。1999年に『The Unauthorized Biography of Reinhold Messner』を発表するも、バンドは解散。Ben Foldsはソロ活動をスタートさせる。2001年にはソロ・デビュー作『Rockin' the Suburbs』をリリース。その後、『Songs forSilverman』(2005年)、『Way to Normal』(2008年)、『Lonely Avenue』(2010年)、『So There』(2015年)、『What Matters Most』(2023年)と作品を発表。その間、再結成したBen Folds Fiveは2012年にアルバム『The Sound of the Life of the Mind』をリリースしている。
発売・販売元 提供資料(2024/10/03)
ピアノ弾き語りメインの上質なクリスマス作品というのは聴き心地だけ。その中身は、毎年変わりなく訪れる行事を自分自身の変化を顧みる節目と位置付け、楽しいだけではない寂しさやメランコリーも表現した一枚だ。つまりは毎度の最高なベン・フォールズ節が楽しめるわけで、失った愛を反芻する"Sleepwalking Through Christmas"を筆頭に、孤独な冬の散歩道で聴きたい楽曲が揃っている。思わせぶりに挿入されるバカラック"The Bell That Couldn't Jingle"などのカヴァーやインストも効果的だ。
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タワーレコード(vol.492(2024年11月25日発行号)掲載)