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運命と自由

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フォーマット 書籍
発売日 2024年10月08日
国内/輸入 国内
出版社国書刊行会
構成数 1
パッケージ仕様 -
SKU 9784336073808
ページ数 656
判型 A5

構成数 : 1枚

序に代えて
現代リスク文明論
――国家が個人を守れなくなった時代

第一部
あなたは自由か
第一章
自由の二重性
――自由は不自由の自覚にはじまる
1サイバーテロの時代にどんな自由があり得るか
2LibertyとFreedomの違いについて
第二章
資本主義の「自由」の破綻
――共産主義という敵を失った自由主義の行方
1経済の高度成長期(一九六〇〜八〇年代)における自由の過剰
2九〇年代に自由の「収縮」する感覚があった
3しかし、自由は量の概念ではなく、量と質の対立の概念でもない
第三章
古代ギリシャの奴隷制度と現代アメリカの民主主義諸制度
――自由と平等のパラドックス
1古代ギリシャでは高貴な身分の人も奴隷に転落した
2アメリカ独立宣言の自由と平等の欺瞞性
3古代ギリシャ人を支配した「競争」とは何か
第四章
「天皇」と「人類」の対決
――コロンブスの米大陸発見からハル・ノートへ
1民族の歴史の外に立つ「個人」に自由はあるか
2日本は戦間期(一九二〇〜三〇年代)にある罠にはめられた
3後期水戸学(一七〇六年〜)における「近代」の目覚め
――同時代のアメリカ史にいったい何があったのか
4欧米五百年史に見る「人類」という概念の鎖国的性格
第五章
「 アメリカ帝国」の出現とヨーロッパの闇
――国際公法を信じ過ぎた日本
1十九世紀はヨーロッパ公法による智恵と安定の時代だった
2ヨーロッパ史を背負って現われた「神の国」アメリカ
――日本も「神の国」だった
第六章
第二次世界大戦の開戦動機に関する日米間の認識の接近
――あのときは「決断」以外に自由はなかった
1日米開戦をめぐる三冊の本
2一九四三年の日本人による時局観察
3二〇〇九年のアメリカ人による日本の開戦動機の分析
4一九四二年の日本人による開戦回顧
第七章
ルター=エラスムス論争と近代日本の運命
――自由は動く
1素人小説家のある作品を批評して
2"私は「個体」でも「個人」でもなく「私」なのです"
3意志の不自由論と犯罪
4青春只中の日本精神史のひとこま
5「 自由意志論争」(一五二四年)の一点描
6エラスムスによる新約聖書のギリシャ語原典の復元
7プロテスタント運動はヨーロッパ内部の「十字軍」だったのか
8ヨーロッパとイスラムの対立、そして日本と中国の対立
あとがき
主な参考文献

第二部
あなたにとって運命とは何か
I運命と戦争
1一九四五年八月十五日以前の日本人、以後の日本人
2「 戦後の戦争」に敗れたのが日本の間違い
――新党「たちあがれ日本」樹立記念講演会で語ったこと
II運命と原爆
1オバマ米国大統領の広島訪問と「人類」という概念の欺瞞
2核武装国家北朝鮮との共存はわれわれの運命なのか
3敵基地攻撃能力と反撃能力とでは概念が決定的に異なる
4そうだ、その通りだと膝を叩いた一枚の広告

第三部
私の運命観の転機
1二〇一一年三月十一日、東日本大震災のあの日の私
――社会的災厄は果たして運命なのか、運命に日付や地名は付いているのか
2運命は個人の生の情熱の外にはない
――私は坂本多加雄氏の言葉からヒントを得て運命観を変えた

第四部 平和主義ではない「脱原発」
1原子力安全・保安院の「未必の故意」
2「脱原発」こそ国家永続の道
3「 原発」は戦後平和主義の象徴
4『平和主義ではない「脱原発」』の「はじめに」と「あとがきに代えて
5現代リスク文明論
――国家が個人を守れなくなった時代(本巻「序に代えて」に掲載)

第五部
保守論壇を叱る
1経済と政治は一体である(二〇〇五年)
2雑誌ジャーナリズムよ、衰退の根源を直視せよ(二〇〇八年)
3十年経っても言論の衰退は止まず(二〇一八年)

第六部
日本を取り巻く潮流
1日本は米中に厄介で面倒な国になれ(二〇〇七年)
2日本は真中が陥没しかけている(二〇〇八年)
3日本は案の定、米中の挟み撃ちに遭っている(二〇一〇年)
4中国恐怖症が日本の元気を奪う(二〇一一年)
5無能なオバマはウクライナで躓き、日中韓でも躓く(二〇一四年)
6中華冊封体制の金融版を許してよいのか(二〇一五年)
7人民元国際化の「脅威」と戦え(二〇一五年)
8アメリカへの依頼は動かぬ現実、依頼心理が日本の問題(二〇一六年)
9外務省は国の名誉の汚名を雪ぐために本気で戦ったことがあったのか(二〇一七年)
...

  1. 1.[書籍]

著者の処女作『ヨーロッパの個人主義』の副題「人は自由という思想に耐えられるか」は著者のいわば根本テーマで、本巻の「あなたは自由か」で追究され、確かめられた。

本巻第一部『あなたは自由か』の冒頭に「自由は不自由の自覚にはじまる」と書かれている。これは本巻における運命の概念と同一である。つまり運命と自由は正反対の概念で、同時に論じることは不可能なはずだが、著者はこの矛盾を承知し、自己の論が破綻していることに気づいている。もし運命と自由を同時に追究すれば、自己破産し、ときに危険が身に及ぶ際どさがあることに気づいてもいる。けれども運命と自由はどうしても切り離せない。単なる省察ではなく行動を伴った自己認識に及ぶなら、体験外体験が予想され、際どさは先鋭化されるであろう。

作品の情報

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著者: 西尾幹二

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