天才POP職人=Mike Viola(マイク・ヴァイオラ)
パニック!アット・ザ・ディスコのブレンドン参加の最新作『Rock Of Boston』(アナログ盤)
天才POP職人マイク・ヴァイオラの最新作『ロック・オブ・ボストン』。マイク・ヴァイオラはエルヴィス・コステロを彷彿させるハスキー・ヴォイスで、ビートルズやビーチ・ボーイズの遺伝子を受け継ぐ、素晴らしいメロディとハーモニーをもつキャッチーな曲を作る「ポップ・ジニアス」なシンガー/ソングライター/プロデューサーだが、今作はその持前のメロディアスでキャッチーなパワー・ポップにロック色を強め、マイクのギター演奏もたっぷり聴ける、ロックでポップ、ポップでロックなアルバムとなっている。
曲の大半は、パニック!アット・ザ・ディスコの『ヴィヴァ・ラス・ヴェンジャンス』(全米オルタナティヴ・アルバム第2位/全米ロック・アルバム第3位)の全曲の共作、共同プロデュースを手がけ、バンドにギタリストとして参加したツアー中、サウンドチェックとショウタイムの間に移動用のバスにこもって書いたもので、パニック!アット・ザ・ディスコのブレンドン・ウリーがドラムズとして参加し、ウィーザーやベックとも働いてきたジェイク・シンクレア(ベース)とともにパワー・トリオで録音されている。パニック!アット・ザ・ディスコほどの人気グループのフロントマンが、他のアーティストの伴奏を務めるのは珍しいが、ブレンドンはバンド活動にとても疲れ、燃え尽きそうになっていた時期に、マイクの『アメリカン・エジプト』にインスパイアされ、彼に連絡をとったといういきさつがあるだけに、マイクのドラマーという役割を心から楽しんでいるそうだ。
マイクの故郷マサチューセッツ州ボストンへの想いを綴り、70年代のポール・サイモンやエルトン・ジョンを彷彿とさせる「ロック・オブ・ボストン」や、映画『マッドマックス』シリーズに出てきたデスマッチ用の半球状の鉄檻の"サンダードーム"をモチーフにした激しいロック・ナンバー「ウェルカム・トゥ・ザ・サンダードーム」、そしていくつかの美しいアコースティック・ナンバーを含め、幅広い音楽性をポップな感性というフィルターに通したマイク・ヴァイオラの世界がたっぷり楽しめるアルバムとなっている。
発売・販売元 提供資料(2024/09/06)
マサチューセッツのポップ職人が『Paul McCarthy』に次ぐ新作を発表。ギターで参加したパニック!アット・ザ・ディスコのツアー中に書き上げ、自宅スタジオにてアナログ録音した楽曲で構成されているが、歌声が枯れた味を醸す冒頭曲などじっくり聴かせる系の充実ぶりが素晴らしい。エルヴィス・コステロあたりが書きそうな美しいラヴソング"Audrey Forever"がまた格別。
bounce (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.491(2024年10月25日発行号)掲載)