スナーキー・パピーのマイケル・リーグが結成した、最強トリオによる新グループ"エリプシス"のデビュー作。 (C)RS
JMD(2025/10/11)
スナーキー・パピーのマイケル・リーグが結成した、
最強トリオによる新グループ「エリプシス」のデビュー作。
伝統に片足を、未来に片足を深く入れた、未来のフォークロア。
ここ数年、さらにグローバル・ミュージックとの接点を増やしているスナーキー・パピーとGroundUPレーベルを率いるマイケル・リーグ。
自身のソロ・アルバム『ソー・メニー・ミー』でも中東~北アフリカのパーカッションの大幅な導入、また最近ではブラジル音楽とジャズが融和したナタリー・クレスマン&イアン・ファキーニのリリース、インド人女性シンガーのヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパルのプロデュース、キューバ人ピアニストであるアロルド・ロペス・ヌッサのブルーノート移籍作をプロデュースする等、広範囲な活動を続けている。
そんなマイケル・リーグが「伝統に片足を、未来に片足を深く入れた、未来のフォークロア」をコンセプトに、キューバ人"天才"パーカッション奏者&ヴォーカリストのペドリート・マルティネス、4度のグラミー賞に輝き現代最高峰のジャズ・ドラマーとして人気の高いアントニオ・サンチェスと新グループを結成。
ペドリート・マルティネスはアフロ・キューバンの伝統を携えながら、スティーヴ・コールマン/ウィントン・マルサリス/ジェルバ・ブエナ他様々な場所で活躍しNYのリズムを変えたとまで言われる革新的なアーティスト。
メキシコ・シティ出身のアントニオ・サンチェスは約20年にわたるパット・メセニー・グループのドラマーや、また映画『バードマン』のスコア等で世界的に名を馳せると共に現代ジャズ・シーンの最重要人物。
サウンドはアフロ・キューバン音楽をベースにしつつもマイケル・リーグ的なキーボードとベース音像、コーラス、ジャズのボキャブラリー他が混じり合い、現代性が高い解像度で表現されている。
三人ともに他ジャンルとの接続を頻繁に繰り返しながら新しい音楽領域を開拓しており、そんな姿勢と共に三人のルーツと伝統が反映された眩いばかりの生命力あるグルーヴが満ち溢れた内容。
発売・販売元 提供資料(2024/10/22)
このアルバムのリリースに先んじて、数年前のノース・シー・ジャズ・フェスティバルでのこのグループの動画を見た。映画『バードマン』でのドラミングを思わせるアントニオ・サンチェスのソロがイントロになったり、NYのストリートをルンバで煽ってきたペドリート・マルティネスのコンガソロが導入になったりしながらストレートにトリオのラフなアンサブルが楽しめた。このアルバムでは、そうした即興的な力をベースに構築された空間をペドリートの厚みのある声やスナーキー・パピーのマイケル・リーグのベースやシンセが埋める。マーク・ジュリアナとブラッド・メルドーの『メリアナ』とは違うエキゾチックな、汗まみれの異臭が音楽に漂い始めた。
intoxicate (C)高見一樹
タワーレコード(vol.172(2024年10月10日発行号)掲載)