ジャック・ホワイト 2年ぶりとなる最新アルバム『ノー・ネーム』(カラー・ヴァイナル)
2000年代以降のロック・シーンの最重要バンド=ザ・ホワイト・ストライプスのフロントマンにして、ソロアーティストとしても高い評価を誇るジャック・ホワイト2年ぶりとなる最新アルバム『ノー・ネーム』がカラー・ヴァイナル 180g 重量盤でリリース。アルバムは2023年から2024年にかけてサード・マン・スタジオでレコーディング・プロデュース・ミキシング。またサード・マン・プレッシングでヴァイナルはプレスされ、サード・マン・レコーズでリリースという、自身が所有するサード・マン関連施設で全て制作・販売というDIYルーツ溢れるものとなっている。またアルバムのリリースに先立ち、アーティスト名が伏せられたタイトルである"ノー・ネーム"とだけ書かれたアナログ盤を、彼が経営するサード・マン・レコーズに買い物に来た人の袋の中に密かに入れるという、サプライズ的な新作の発表を行った。幸運にもゲットできたファンが作品をSNS上にUPし、「もしかしたらこれはジャック・ホワイトの新作では?」など、各コミュニティ上で大きな話題を呼んだ。これまでもゲリラ的なリリース発表を行っていた彼らしい一連の動きともいえる。リスナーの間では彼のソロ作品の中でも、最もザ・ホワイト・ストライプスのサウンドに近いという声も多く、前作から大きく方向性を変え、キャッチ―でパワフルなギターリフが満載の、原点回帰とも言えるロック・サウンドにシフト。音楽シーンで世界的にロック・リバイバルが進むなかリリースされる大本命のロックアルバム。
発売・販売元 提供資料(2024/08/16)
ワイルドなギター・リフでグイグイ押しまくるノイジーなブルース・ロックがそこかしこに。リビドーがしぶきを上げながらゴロゴロ転がっていくこの感じ。2年ぶりに届けられた通算6枚目と対峙しながら、こういう原点回帰の展開をどこかでずっと待っていたことにふと気付かされる。威勢の良いシャウトを繰り返す"That's How I'm Feeling"、パンキッシュな突進力を備えた"Bombing Out"など、いかなる場面も直球勝負でもって単純明快。こんなにキャッチーなナンバーが揃ったケースも久方ぶりな気がするし、カッコいいと呟いているだけであっという間に終わってしまうような、とにかく強力すぎるアルバム。
bounce (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.491(2024年10月25日発行号)掲載)