44分の未知なる体験。Blood Incantation(ブラッド・インカンテイション)がデスメタルというジャンルの概念を捨て去った3作目『Absolute Elsewhere』
Paul RiedlとIsaac Faulkが2011年に米国コロラド州デンバーで結成したブラッド・インカンテイション。デモ、EPに続いて2016年に1作目のアルバム『Starspawn』を発表、ケラング誌が「過去10年間における最高のアメリカン・メタルバンド」において25位にバンドを選出した2019年に誕生した2作目『Hidden History of the Human Race』で早くも注目を浴びる存在となった。そして彼らは唯一無二の存在になるために音楽を探求する旅を続ける。2022年、驚くことにバンドはデスメタル、メタルからかけ離れ、アンビエントに徹底したアルバム『Timewave Zero』をリリースした。そして、2024年10月にリリースされる最新作『Absolute Elsewhere』はさらなる驚きと困惑をもたらすこと必至の内容である。
今作は「The Stargate」と「The Message」の2部構成、インスピレーションの源として、プログレ三大グループ(YES、KING CRIMSON、GENESIS)を渡り歩いたドラマーBill Brufordが在籍したことでも知られる70年代のプログレッシヴ・ロックバンドABSOLUTE ELSEWHEREの名を大胆にもアルバム・タイトルにしている。サウンドは、未来からやってきた90年代のデスメタル・バンドが、70年代のプログレ・アルバムをプレイするといったカオスな様相を呈している。
レコーディングは、U2、DAVID BOWIE、IGGY POPといったミュージシャンから、 TANGERINE DREAM、ELOY、BRIAN ENOなどアンビエント界のキーパーソンたちが影響を受けたドイツはベルリンにある伝説的スタジオ"ハンザ・スタジオ"で、今作を完成させるために必要だったという人物Arthur Rizk (POWER TRIP、KREATOR)をプロデューサーに迎えて制作された。ベルリン、そしてハンザ・スタジオは今作の根底に流れる雰囲気の一部となったことは間違いない。Paul Riedlは「このアルバムは、意識の戦い、人類の意識との戦い、愛、寛容、平和、そして意識の高まりと拡がりから花開く全てを扱った映画のサウンドトラックのように演奏されている。本質的にサイケデリックな作品だが、神秘的でもある。プログレッシブで抽象的で美しいが、非常に攻撃的でもあり、人間の遊び心も息づいている。そして私たちの野心が透けて見えるような、とても個人的なアルバムだ。今までの作品よりも、私たちそれぞれの個性が表れている。総じて、とてもポジティブなアルバムだってことだ」と自信をのぞかせる。SF、ファンタジーの画家、Steve R. Doddが描いた印象的なアートワークに包まれたアルバムからは、バンドのメッセージと精神性が明確に照らし出されている。デスメタルという概念を捨て去ったブラッド・インカンテイションの『Absolute Elsewhere』は我々に約44分の未知なる体験を与えてくれるだろう。
発売・販売元 提供資料(2024/09/13)