マルチプレイヤーNoiseによるブラッケンド・デスメタルバンドKanonenfieber(カノーネンフィーバー)の2作目『Die Urkatastrophe』
第一次世界大戦をテーマにしたデビュー作『Menschenmuhle』(2021年)が大きな話題を呼んだドイツはバンベルク発のKanonenfieber(カノーネンフィーバー)。バンド唯一のメンバーのNoiseは、バンドのコンセプトはもちろん、ソングライティングから演奏に至るまでの全てを司り、ステージ上では"無名兵士"として匿名性を保つためマスクを被り素顔を明かさないことで知られている。彼は第二次世界大戦の最前線で亡くなった曾祖父の日記を読んだことがきっかけで、このバンドを始めている。
およそ3年半ぶりに発表される2作目『Die Urkatastrophe』は、前作と同様に第一次世界大戦で生き残った兵士や亡くなった兵士たちの実話を、残された手紙や文書などに基づいて描いている。HEAVEN SHALL BURNが引き合いに出されるサウンドは重厚、音楽性は美しくも攻撃性の高いモダン・ブラッケンド・デスメタルを展開、さらにキャッチーなメロディー、高速ブラストビート、ブレイクダウンも兼ね備えるなど、リスナーを楽しませる要素が多い。しかし、バンドの楽曲にはおぞましい戦争に対する意識を高め、教育することも意図されている。
8月15日にMVが公開された「Der Maulwurf (モグラ)」は、敵の攻撃の恐怖に耐えながら、光の見えない地下道を鋤で掘り続ける男たちの姿が映し出されている。この曲の背景についてNoiseは「塹壕戦が始まった1914年の秋から冬にかけて、地下の地雷戦も始まった。 坑道の建設に雇われた坑夫たちは、1日24時間、週7日、12時間交代で休みなく働いた。いわゆる"モグラ"たちは、悲惨な酸素供給のほかに、水の浸入や埋没と戦わなければならなかった。坑道が狭く、立って作業することは不可能だったため、坑夫たちはすぐに腰痛、膝や手の異常を訴えた。また長時間に渡って働き続けた彼らは、精神疾患やパニック障害に苦しんだんだ」と語る。
20世紀の"Die Urkatastrophe(原始の大惨事)"と考えられている第一次世界大戦は、およそ1,700万人の兵士や市民が命を失い、ヨーロッパの大部分が破壊され、未解決の問題が残されたことで、さらなる暴力的紛争を引き起こした。強い憤怒と悲しみを内包した今作『Die Urkatastrophe』は、悲劇の戦争の犠牲者に捧げられており、100年以上経った今でも彼らの運命が、次の世代への警告となるようにという想いを込めてレコーディングを行ったNoiseはコメントする。戦争に栄光などない。誰もが命を失い、魂を奪われ、人間性を喪失する。数字や統計によって抽象的に描かれることが多い戦争だが、Kanonenfieberは名もなき人々の物語を語る。それによって個々の恐怖から人類全体の恐怖まで我々に伝わり、無数の犠牲を生み出す戦争を決して美化してはいけないことを訴えている。
今作はKohlekeller StudioでKristian Kohle(POWERWOLF、ABORTED、BENIGHTED)と共にレコーディングされ、「Waffenbruder」にHEAVEN SHALL BURNのギタリストMaik Weichertが参加している。
★メディアブック、パッチ(ワッペン)付き
Line-Up:
Noise - All instruments and arrangements
発売・販売元 提供資料(2024/08/23)