ステレオラブやブロードキャスト、ディアハンターが築き上げてきた、トワイライト・ポップの系譜を引き継ぐ期待の新人が登場! これまでにマイ・ビーズ・ガーデンやナルコレプティック・ダンサーズといったユニットで活動経験のあるフランスの美人マルチ・プレイヤー=メロディ・ポシェットが、オーストラリアの新鋭サイケ・ロック・バンド、テイム・インパラ(新作も間もなく!)のケヴィン・パーカーと意気投合。メロディの祖父母が住む南仏とケヴィンの地元であるパースを行き来しながら作り上げたこのファースト・アルバム『Melody's EchoChamber』には、カンやステレオラブをよく聴いていたという彼女の嗜好がストレートに反映された、極彩色のポップ・ワールドが一面に広がっている。ケヴィンの操るセルジュ・ゲンスブール『Histoire De Melody Nelson』ばりのグルーヴィーなリズム・セクションと、メロディの紡ぎ出す寓話的なメロディー(ややこしい!)、そして欧州ロマンの薫り漂う甘く儚い歌声との融合が、北半球と南半球の中間に位置する(地図上には存在しない)場所へと聴き手を誘ってくれる。フレンチ女子と異国の男子という組み合わせからは、ベックとシャルロット・ゲンスブールのコラボを思い出したりも。
bounce (C)佐藤一道
タワーレコード(vol.349(2012年10月25日発行号)掲載)
パリを拠点に活動するマイ・ビーズ・ガーデンの女性ヴォーカリスト、メロディ・ポシェットのファースト・ソロ・アルバム『Melody's Echo Chamber』が本気で凄すぎます。ビーチ・ハウスとウォッシュト・アウトとブロンド・レッドヘッドを足して3で割ったような内容に、インディー・ファンなら興奮を禁じ得ないでしょう。この甘美でデカダンでサイケデリックなドリーム・ポップは、(本人にそのつもりはないにしても)いまのトレンドにジャスト・フィット! 過剰にエフェクトをかけた儚いウィスパー・ヴォイスと温かみのあるシンセ音を中心に据えた、万華鏡のように煌めくサウンドの波に溺れ死にそうです。なお、ケヴィン・パーカー(テイム・インパラ)がプロデュースを手掛けたことも大きなトピック。クラシック音楽を勉強していたという彼女と、もともとガレージ~ハード・ロックを志向していたケヴィンによって特別なケミストリーが生まれており、言うなればお行儀の良いガーリー・ポップにワイルドなグルーヴが注入された感じ!? それにほら、ご覧の通りルックスも良いし、英語とフランス語を自在に行き交う歌もユニークだし、これは間違いなくブレイクしますよ。というか、ウォッシュト・アウト以来の事件です!
bounce (C)小泉いな子
タワーレコード(vol.349(2012年10月25日発行号)掲載)