ヴィジュアル・アーティスト/ソングライターアレックス・コンシュー率いるニューヨークを拠点とするプロジェクト、マリスK。ジャグジャグウォーよりデビュー・アルバム『アヴァンティ』をリリース。 (C)RS
JMD(2024/06/18)
ヴィジュアル・アーティスト/ソングライターのアレックス・コンシュー率いるニューヨークを拠点とするプロジェクト、マリスK。ジャグジャグウォーよりデビュー・アルバム『アヴァンティ』をリリース。
Malice Kはデビュー・アルバム『AVANTI』をJagjaguwarからリリースする。Malice Kは、ヴィジュアル・アーティストでソングライターのAlex Konschuhが率いるニューヨークを拠点とするプロジェクトだが、彼はワシントン州オリンピアで生まれ育った。『AVANTI』のいたるところに亡霊は存在する。このレコードは、混沌と喪失の混乱を鋭い刃を持った情熱を通して表現する。70年代の黄金時代のポップスのようなメロディックなソングライティングの土台の上に、グランジなレイヤーが乗り、Malice Kの歌は、思い出や過ちの内面を探るように、率直で単純、そして冷徹だ。しかし、Malice Kが音楽制作をさらに掘り下げたのはロサンゼルスでの生活からで、彼は、アーティスト集団DeathProof Inc.のメンバーとなった。その結果、入門的でブリスター、そして時に痛烈でハートフルな20分のEPを2枚リリースした(2020年にDeathproofからリリースされた『Harm or Heck』と、2022年に自主制作でリリースされた『Clean Up on Aisle Heaven』)。今年初め、Malice Kは『AVANTI』からのファースト・シングル「Radio」をリリースし、NMEの表紙を飾った。インタヴュューでは、彼の説得力のある誠実なソングライティングがフォーカスされ、シェイプシフター(変身能力者)と称された。しかし、彼は決して無定形ではない。彼には決断力があり、強烈で、すでに存在するものに溶け込む方法を見つけるよりも、自分の道を切り開き、自分の世界を構築することに関心を持つ。シングル「Radio」のテープとハサミのアートワーク、アルバム・パッケージの内側のイラスト、Cheeky Maとコラボレートして制作した彫刻をフィーチャーした『AVANTI』のアルバム・ジャケットなど、Malice Kのあらゆる部分は、彼自身である。そして、汗だくでハイテンションなショー、ハイフラッシュでハイコントラストな写真、不安定な不穏なイラスト、悲しみと優しさの間で揺れ動くスタジオでのレコーディング・・・、Malice Kが触れるもの全てに並外れた獰猛さが存在する。『AVANTI』には人が住む。それは、指紋で汚れた窓から廃屋を覗き込んだようなもので、そこには、よく生きた人の遺物が散らばっている。デビュー・アルバムであるにもかかわらず、不完全さも含めて完全に実現された状態でMalice Kは到着した、という感覚が、この作品によりもたらされる。
発売・販売元 提供資料(2024/06/03)
いきなり叫び声という狂気じみた始まりに一瞬ビビるが、そのまま聴き続けると、マリスKことアレックス・コンシューがエキセントリックであると同時に繊細なクリエイティヴィティの持ち主であることがわかる。ドリーミーかつグランジーな音像の核にあるアシッド・フォーキーな弾き語りからはシド・バレットの夢想やカート・コバーンの憂鬱も連想できるだろう。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.489(2024年8月25日発行号)掲載)