When the Music Stops

Z世代のエモ・パンクを奏でるトラヴィス・バーカーに見出されたシンガー・ソングライター、jxdn。自身と向き合い、同世代の共感を集める彼が語る新たな物語、待望のニュー・アルバム『WHEN THE MUSIC STOPS』完成。音楽が止んだ先に聞こえてきた歌がここにある。

2001年生まれ。USテキサス州ダラス出身、現在はロサンゼルスを拠点に活躍しているシンガー・ソングライター、jxdn(ジェイデン)。TikTokにて大きく注目され、Travis Barker主催のレーベルDTA Recordsと初めて契約したアーティストになった彼は、Travis自身がプロデュースとDrumプレイを手がけた1stシングル「Angels & Demons」を発表し、同曲はゴールド・シングルにも認定された。その後も「So What」や自身の鬱病と自殺念慮について歌った「Pray」を立て続けに発表し、2021年にデビュー・フル・デビュー・アルバム『TELL ME ABOUT TOMORROW』を発表した。またアルバムには「Tonight(feat. iann dior)」とMachine Gun Kellyをフィーチャーした「Wanna Be」などの楽曲が収録されていた。

ゴールド・シングルに10億以上ものストリーミング再生数を獲得し、数々のスターとコラボレーションを果たし、ソールド・アウトのヘッドライン・ツアーも行い、幅広い賞賛を得た彼が新たなアルバムを引っ提げシーンに帰ってきた。アルバムのタイトルは『WHEN THE MUSIC STOPS』。そのタイトルとアルバムについて、彼はこう説明している。
「音楽が止まった時に何が聞こえるって?今まで聞いたことのない静寂が聞こえてきたんだ。俺に襲い掛かった空虚さを耳にした。人生の音楽、そしてそこから得られる安心感が恋しくなった。感情への愛着を失っていた。前作を出してから地獄を見て、戻ってきた。その間、美しいメロディーを想起させるかすかな音をしょっちゅう耳にしてきた。そのかすかな音は俺が家だと呼ぶ場所――音楽へ――静けさの中を導いてくれた。聞き続けて、明日を掴み続けろ。特に何も聞こえなくなった時には。特に音楽が止んだ時に。これはそんな時のもの。これは君たちのものだ。これは俺たちのものだ」

アルバムからはタイトル・トラックをはじめ、リード・シングルとなる「What The Hell」、さらに「Stray」と「Sad October」の4曲がこれまでにリリースされている。いずれの楽曲もHunter Morenoによるミュージック・ビデオが制作され、jxdnが描く世界観とエモーションをより鮮明なものとしている。アルバムのプロデュースを手掛けるのは、Travis BarkerとAndrew Goldstein。収録されている17曲には2000年代のポップ・パンク・エクスプロージョンには生まれるのが遅かったZ世代のアンバサダーとして彼らの世代のエモ・パンクを作り上げ、ジャンルを深く掘り下げてきた。喪失感に苛まれ、メンタルヘルスの問題に苦しみ、依存症とも闘い、自らのあるべき姿を見出した彼は、知恵と未来への慎重なヴィジョンで身を固め、新たなアルバムとともにシーンに帰ってきたのだ。『WHEN THE MUSIC STOPS』、音楽が止んだ先に聞こえてきた歌がここにある。

トラヴィス・バーカーに見い出されて彼のDTAからデビューしたシンガー・ソングライターで、同世代にリーチするエモ～パンクを鳴らしてきたジェイデン。MGKらと並ぶポップ・パンク・リヴァイヴァルの立役者のひとりだが、もともとメンタルの問題に起因して休養していたり、一時的に本名での活動に切り替えるなどの不安定な面も見せていた。イレニアムとのコラボなどを経て到着したこちらは『Tell Me About Tomorrow』(2021年)以来のリリースとなったセカンド・アルバム。今回も陰鬱な内面に焦点を当てながらブリンク182の影響下にあるスタイルをシンプルかつキャッチーに聴かせている。
bounce (C)轟ひろみ