前作が高い評価を博したNYのシンガーソングライター、カサンドラ・ジェンキンス。これまで以上に幅広いサウンド・パレットを駆使したデッド・オーシャンズ移籍第一弾、自身3枚目となるアルバム『マイ・ライト、マイ・デストロイヤー』をリリース。
夜空そのもののように、『My Light, My Destroyer』の世界は常に広がっている。新しいレーベル、Dead OceansからリリースされるCassandra Jenkinsのサード・アルバムは、ギター主体のインディ・ロック、ニューエイジ、ソフィスティ・ポップ、ジャズなど、これまで以上に幅広いサウンド・パレットを駆使し、新たな境地に達することを約束する。その中心にあるのは、自身の宇宙を構成するクオークやクェーサーに対するJenkinsの好奇心であり、彼女はフィールド・レコーディングと、とらえどころのない、ユーモラスで、破滅的で、告白的な詩的リリシズムを融合させることで、アルバムの13曲の豊潤さをさらに深める錬金術的な作業を行っている。
2年間にわたる前作『An Overview on Phenomenal Nature』のツアーを終えた直後、Jenkinsは次のアルバムのレコーディングに取りかかった。「燃え尽きて枯渇しているところから始まったので、セッション後の数ヶ月は、作ったばかりのレコードが好きではないことを受け入れるのに苦労した。だからやり直した」と彼女は告白する。彼女の親しい音楽仲間たちが再び集まり、プロデューサー、エンジニア、ミキサーのAndrew Lappin(L'Rain、Slauson Malone 1)がボードの後ろにいる中、Jenkinsは以前のセッションを脇に置き、その灰から『My Light, My Destroyer』を作り始めた。
『My Light, My Destroyer』は1年をかけて制作されたが、収録される13曲の中には、Jenkinsのノートに何年も眠っていた曲もある。Tom Pettyの爽やかなフォーク・ロックの古典主義、Annie LennoxやNeilYoungのようなソングライターの作品、彼女がハイスクールの時に聴いていたCD(Radioheadの『The Bends』、The Breeders、PJ Harvey、Pavement)、DavidBowieの『Blackstar』など、アルバムの制作中、彼女の頭の中にはサウンドの参照点も存在し、Anne Carson、Maggie Nelson、Rebecca Solnitのような作家や、David Bermanの作品などからの影響もあった。また『My Light, My Destroyer』は、前作のような孤独な作品ではなく、グループとしての作品である。
PalehoundのEl Kempner、Hand HabitsのMeg Duffy、Isaac Eiger(元Strange Ranger)、Katie Von Schleicher、Zoe Brecher(Hushpuppy)、Daniel McDowell(AmenDunes)、プロデューサー兼プレイヤーのJosh Kaufman(前作のプロデューサー)らが参加。Jenkinsの友人である映画監督/俳優/ジャーナリストのHaileyBenton Gatesも、「Hayley」のタイトルを提案した。
発売・販売元 提供資料(2024/05/16)
前作が高い評価を博したNYのシンガーソングライター、カサンドラ・ジェンキンス。これまで以上に幅広いサウンド・パレットを駆使したデッド・オーシャンズ移籍第一弾、自身3枚目となるアルバム『マイ・ライト、マイ・デストロイヤー』をリリース。 (C)RS
JMD(2024/05/15)
今なお高い評価を得る2ndアルバムのリリースから早3年。米・名門レーベル<Dead Oceans>移籍後第一弾リリースとなる本作は、さらに多彩なメロディを奏でる傑作となりました。彼女のストーリーテリングから始まり、アンビエントサウンドと清廉な歌声が映える《Betelgeuse》~《Omakase》の流れでは今までにない手法を凝らしたことが伺えます。最後のトラック「Hayley」はヴァイオリンとストリングスのみで締め方まで素晴らしい。前作以上に神秘的でメランコリック、今までに感じたことがない陶酔感を覚える1枚です。
intoxicate (C)石田真生
タワーレコード(vol.171(2024年8月20日発行号)掲載)
幅広いサウンド・パレットを使うことをテーマにNYのシンガー・ソングライターが作り上げたサード・アルバム。聴き手の耳元で歌っているような歌声に1曲目から、はっとさせられる。冒頭に書いた意味では、アンビエント・フォークに90sオルタナやアメリカーナ、さらにはジャズが加わった印象だが、ストイックな音作りと共に全編でクール・ビューティーぶりを見せつける。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.488(2024年7月25日発行号)掲載)