オーストラリアが世界に誇る古今無双のインストゥルメンタル・バンド、ダーティ・スリー、じつに12年ぶりのニュー・アルバム『ラヴ・チェンジズ・エヴリシング』。ふたたびあの音に酔いしれるときがやってきたのだ。孤高のダーティ・ミュージックに打ち震える。 (C)RS
JMD(2024/05/11)
オーストラリアが世界に誇る古今無双のインストゥルメンタル・バンド、ダーティ・スリー、じつに12年ぶりのニュー・アルバム『ラヴ・チェンジズ・エヴリシング』。ふたたびあの音に酔いしれるときがやってきたのだ。
孤高のダーティ・ミュージックに打ち震える
2012年の『トゥウォード・ザ・ロウ・サン』以来、10年以上ぶりとなるアルバムのために、彼らが飛行機でやってきて、集まり、演奏をはじめた。話は終わりだ。それ以外に言うべきこと、するべきことがあるだろうか? 音楽は彼らの言語であり、真の愛である。彼らはけっしてそれを聴くことをやめない。そして今、『ラヴ・チェンジズ・エヴリシング』。
波と原始的な霧から立ち上がるのは、「Love changes everything I」と適切に名付けられたシングル。ダーティ・スリーが産声を上げた、荒々しく混乱したイ
ンディ・ワールドに6本の手で敬意を表した「Love changes everything I」が、猛烈な嵐のなかで新しいレコードの幕を開ける。太陽がウォーレン・エリスのヴィオラのカミソリの刃にきらめき、ミック・ターナーのギターとジム・ホワイトのドラムの喧騒の上に乗り、彼らは魚から汚物へと騒々しく進化する。『ラヴ・チェンジズ・エヴリシング』のほかの楽曲では、警戒心と忍耐力がループに巻き込まれることを可能にし、アンビエントになり、超越し、そしてまた戻ってくる。
ダーティ・スリー(ウォーレン・エリス、ミック・ターナー、ジム・ホワイト)は1992年にメルボルンで結成され、ギター、ドラム、ヴァイオリンまたはヴィオラで演奏して
いた。数年のうちに彼らはオーストラリアを飛び出し、世界に進出した。それから10年以上、彼らは地球上を絶え間なくツアーし、その間に7枚のアルバムを発表し、個別に尊敬すべき才能(ニック・ケイヴ、キャット・パワー、ボニー"プリンス"ビリー、PJ・ハーヴィ等)との多くの実りあるコラボレイションを行った。この20年間、彼らは誓いを新たにしたり、エンジンをかけたり、ライヴをしたり、アルバムを作ったりするために何度か集まってきた。『ラヴ・チェンジズ・エヴリシング』は、湧き出たばかりの清水のような透明感で沸きあがってくる。その透明性は、ディストーションの濁流、ダーティなギター、ヴァイオリンの汚れ、そして、ときにマイクの許容範囲を超えて打ち鳴らされるドラムの音へと変化していく。
こうした形は、今日の彼らのように風化するために生まれてきたのだ。時間は関係ない。彼らはときを経て集めた英知で、毎回、新しいもののように歌わせている。それは更新する。『ラヴ・チェンジズ・エヴリシング』。
発売・販売元 提供資料(2024/05/09)
1992年より活動を続けるオーストリアのインストゥルメンタル・バンド、ダーティ・スリーの久々の新作がついに発売!前作『トゥウォード・ザ・ロウ・サン』が発売されたのが2012年。12年ぶりの新作となる。ニック・ケイヴ、等々…有名アーティストの作品に参加し幅広く活躍するメンバーたち、ウォーレン・エリス(vn)、ミック・ターナー(g)、ジム・ホワイト(ds)の3人は変わらず。本作は同タイトル《Love Changes Everything》の全6曲で構成されているが、パワフルな1曲目、叙情的で戦慄的な2曲目等々…全曲いずれもクオリティの高い傑作。
intoxicate (C)荻原慎介
タワーレコード(vol.170(2024年6月20日発行号)掲載)