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構成数 : 1
【書評】
「肺の音が物語る診断への道:50年間の研究が明かした肺の音の不思議」
ベッドサイドでの聴診が医学生にとって臨床を学ぶ第一歩であることは言うまでもない.それは患者を前にして,医師が診療を始める最初の医療行為であるばかりでなく,飛躍的に進歩した画像診断法などの検査法がある現在でも,病態を迅速かつ的確にとらえることのできるきわめて有用なアプローチになるからである.
そもそも病人の体内から発する異常な音については,医学の始祖とされるヒポクラテスも聴き取って病気の診断に用いていたとされており,聴診は医学の進歩とともに今日まで歩んできたといえる.そして18世紀までは,医師が直接患者に耳を当てて聴診してきたが,1816年にフランスの医師ルネ・ラエンネックの聴診器の発明によって聴診により得られる所見に定量性が確保され,その分析が飛躍的に進歩してきた歴史について,本書では物語として語られている.
さらに本書は,肺から発生する音について,正常な呼吸音から肺の異常によって発生する雑音まで,図を用いてわかりやすく解説され,通読すると初心者でもいつの間にか肺音の専門家になったような気持ちになってしまう不思議できわめて魅力的な書物である.これは,著者の工藤翔二先生が肺疾患の臨床医としてこれまで長年にわたって多数の患者を診察され,第一線で活躍してこられた豊かなご経験をもち,なかでも肺音について50年間にわたって研究されて,その病態生理から音声物理学的な解析までの深い専門的な知識をもたれていたことによって可能になったことである.また,工藤先生のユーモアにあふれた巧みな話術が文章化されて,この「肺音の不思議物語」に凝縮されていると思う.
私の専門である循環器領域では,心エコー図などの画像診断が導入されるまでは,心臓の収縮弛緩に伴う心音と心雑音の聴診が心臓の構造や機能の異常を診断する唯一の手段とされ,今日でもその詳細な分析を習得することが専門医の資格とされている.そして心不全などの診療には肺の聴診も欠かせない.一方で,一般臨床の場では,ベッドサイドで気管支喘息,肺気腫そして肺炎の患者などの診療に当たることも多く,特徴のあるいわゆるラ音を聴取して診断や治療に活かしてきた.本書により,ラ音の成り立ちや特徴,さらには聴取する場所によって診断に有用な情報が正確に得られることがわかり,急に視野が広がったように感じた.とくに,難病である間質性肺炎の患者に対する聴診がX線撮影では読み取れない病変も明かすとの教えは,読者の皆さんも実感されるところであると思う.本書により,楽しみながら肺音についての理解を深めるとともに,診療の場で生きた知識として活用されることになるのではないかと期待している.
臨床雑誌内科134巻3号(2024年9月増大号)より転載
評者●矢﨑義雄(東京医科大学 理事長)
【はじめに(序文)】
医学は日進月歩。医療者がその進歩を学ばなければ、知識は古くなっていきます。「医学の半減期は?」という表現は適切ではないかもしれません。しかし、医療者が医療者であり続けるには、生涯にわたって学びを求められるということは間違いありません。医療技術は、積み重ねていく知識としての医学よりも変化がもっと顕著です。かつて使われてい...
なぜ,"聴診器"は200年の時を超えて使われ続けているのか――.
呼吸器内科学と肺音聴診の大家である著者により,肺聴診について歴史と科学の両面から紐解いた一冊.聴診器の発見と聴診学の発展から,呼吸音・肺音の成り立ち,副雑音発生のメカニズム,聴診のポイントまでをわかりやすく「読み物」としてまとめた.医療者はもちろん,音響工学等に関連する非医療者の方々にも,肺聴診の面白さと奥深さを楽しく学んでいただける.
| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2024年04月15日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 南江堂 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784524210428 |
| ページ数 | 160 |
| 判型 | 新書 |

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