<Domino>の人気12タイトルが国内流通仕様盤で一挙再発が決定!!
暗夜に苦悩する魂のエレクトロニカから、繊細なラブソング、そして希望に満ちた未来への考察へと展開
ヴェルヴェッツの創設者が作り上げた音楽絵巻
イギリスのウェールズ出身、渡米後、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのオリジナル・メンバーとして活動した後、自己名義の作品を多数発表し、音楽プロデューサーとしても活動するジョン・ケイル。本作において、ケイルは、アニマル・コレクティヴ、シルヴァン・エッソ、ローレル・ヘイロー、テイ・シ、アクトレスという音楽界で最も好奇心旺盛な若手アーティストたちを起用している。いずれも、ケイルの完成された世界観の中に入り込み、そこで彼が自らの世界をデコレーションし直すのを手伝う、才能溢れるミュージシャンたちだ。『MERCY』は、彼らこれまで積み重ねてきた長いキャリアの延長上で誕生した作品と言える。ケイルは常に、疎外感、傷、喜びといった古い考えを探求する新しい方法を探してきた。『MERCY』は、その満たされない心が見つけた新たな作品だ。
発売・販売元 提供資料(2024/04/01)
新曲メインのアルバムとしては『Shifty Adventures In Nookie Wood』(2012年)ぶりの新作。ヴェルヴェッツのオリメンで実験音楽の巨匠……という形容に敷居の高さを感じる人もいるかもしれないが、多様なフィールドで実験的な表現が普通になった現代の目線から見れば、社会情勢を眺めて綴ってきたというリリックの重さこそあれ、特に今回のアルバムはある種の親しみやすさを纏って響いてくるはずだ。冒頭の表題曲からローレル・ヘイローと組み、アクトレスやアニマル・コレクティヴ、シルヴァン・エッソら後進が深い洞察やスピリチュアルな表現に呼応する。なかでも素晴らしいのはワイズ・ブラッドと歌う"Story Of Blood"。そしてやはりルー・リードやボウイを思い出したりする部分もあるのであった。
bounce (C)香椎 恵
タワーレコード(vol.470(2023年1月25日発行号)掲載)