南九州は鹿児島を代表する旅するラッパー泰尊/TAISONG(タイソン)最新作が待望のアナログ化。タイトルは"薩摩キッド"。全18曲の中から厳選した10曲を収録。
薩摩とはあの時代の鹿児島/薩摩半島。この地に産まれた泰尊があの映画や小説にリスペクトを捧げた上で今作が鹿児島を代表する作品という自信と覚悟とユーモアを纏った作品だ。
アーティストとしての転機を迎えた本作、喉にポリープが見つかり本人の一番の魅力でもある現場でのライブ活動休止を余儀なくされた中、家族や仲間で創り上げて完成したSOUL(魂)を込めた渾身のアルバム。前作とは異なり、プロデューサー陣も幅広い人選で泰尊を全面にサポート。CDアルバム同様、孤高のギタリストSOUとの口上から始まり、PENTAXX.B.Fと旅情を唄い、日本屈指の唄者JUNNOSとの邂逅。地元鹿児島を代表するビート職人OWLBEATS氏とのアルバムタイトル、同じく鹿児島日置からはhiatohとの曲はあのハードコアバンドを大胆にサンプリング。盟友MAHBIEとの楽曲は日向の唄者hou氏を招き優しく神懸かった歌声に導かれ、心揺さぶる。佐賀のCogaAtsushiとはラッパーとして試練を歌い、子ども達との今と未来を綴り、これからも日々が続くことを唄う。前作アルバムをフルプロデュースしたMichita氏のスピリチュアルなサウンドに百年樹と新たな家族の住処としての古民家との出会いをぢゃんシーラカンスとソウルフルに歌った18曲目で新たな泰尊のライフスタイルの幕開けで今作を閉じる。泰尊というラッパーは家族や仲間、そして旅での出会いや経験をしたリアルな言葉を音に載せて言霊として表現する唯一無二のラッパーの一人であるだろう。九州の鹿児島の、日置という夕陽が沈む町で生まれたこのアルバムが現状の商業的な音楽が蔓延る中で、家族、友達、仲間と一緒に聴けるアルバムとしてお薦めできる心温まる作品。今作のアートワークには名作"コーヒーもう一杯"特徴的な画風でお馴染みの漫画家 山川直人氏によるもの。
発売・販売元 提供資料(2024/03/21)
同郷のOWLBEATSをはじめ、MICHITAやMAHBIEらを制作陣に迎えて鹿児島のラッパーが完成させた5枚目のアルバム。Ill Bosstinoの影がちらつくラップの一方で、ローファイ寄りのオケやノスタルジックなものからパンク調まで取り込む曲調はぐっと多彩。活動への思いを強くさせたポリープの顛末を歌う"デイ・ポリープ・ビリーバー"がじんわり温かい。
bounce (C)一ノ木裕之
タワーレコード(vol.482(2024年1月25日発行号)掲載)